研究実績の概要 |
本年度はセマフォリン3Aシグナルによる腫瘍発症メカニズムに焦点をおいて研究を行った。その結果、セマフォリン3AはmTORC1を活性化することで肺がん細胞の代謝及び増殖性を制御すること(Yamada D et al., BBRC., 2016)、そして肺がん幹細胞の腫瘍原性能及び自己複製能の維持に必須であること(Yamada D et al., BBRC., 2016)を明らかにした。また、セマフォリン3Aの受容体にはプレキシンA1-A4の4種類が存在しているが、その中でもプレキシンA1を介したシグナルが重要であることも明らかにした(Yamada D et al., BBRC., 2016)。さらに、セマフォリン3A/プレキシンA1シグナルは、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)阻害剤への抵抗性の獲得に寄与すること(Yamada et al., BBRC., 2016)も明らかにした。以上の結果から、セマフォリン3A/プレキシンA1シグナルの阻害は、肺がん並びにそれに付随して生じる転移腫瘍の有効な治療手段になりうると考えられる。
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