研究課題
ヒストン修飾と遺伝子発現の因果関係には未だ不明な点が多い。本研究では遺伝子発現制御領域であるエンハンサー領域のヒストンH3K27のアセチル化(H3K27ac)とH3K27のメチル化(H3K27me3)による遺伝子発現制御の因果関係を検証することを目的とする。平成27年度には1) H3K27me3 欠損K562細胞を作製し、次世代シーケンサーを用いたRNA-seqによりH3K27me3修飾に依存して遺伝子発現が抑制されている遺伝子群を同定した。2) H3K27me3修飾変化に依存したヒストンH3K27のアセチル化酵素p300のゲノム上での局在変化をChIP-seq解析により明らかにした。3) CRISPR-Cas9システムとH3K27脱メチル化酵素の融合タンパク質の作製を開始した。これらの進捗に基づき平成28年度には以下の2点を主な目標として研究を遂行した。1) 本研究課題の関連課題として、我々はマウスNIH3T3細胞において遺伝子の転写開始点から終結点までの遺伝子領域(Gene body) のH3K27me3 修飾が転写抑制と相関することを見出してきた。そこで、エンハンサー領域のH3K27me3 修飾ならびにGene body領域のH3K27me3 修飾と遺伝子発現制御の関係をK562細胞において精査した。2) ゲノムワイド解析によって同定されたH3K27me3とエンハンサーの活性化の相関関係をさらに精査するため、ヒストンH3K27のアセチル化酵素p300の局在変化を人為的に誘導するためのdCAS-p300融合タンパク質を作製した。このdCAS-p300融合タンパク質を利用することで、H3K27me3修飾により抑制されたエンハンサーを強制的に活性化できるか検証することが可能となることが期待される。
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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http://www.devgen.med.tohoku.ac.jp/index.html