研究課題/領域番号 |
15K18456
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 沙央里 大阪大学, たんぱく質研究所, 招へい研究員 (80748856)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DNA脱メチル化 / エピジェネティクス / ヒドロキシメチル化シトシン |
研究実績の概要 |
マウスにおいてTetタンパク質による5-メチルシトシン(5mC)の能動的脱メチル化は、5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を経由して起こる。5hmCは幹細胞や一部の特異的な細胞に多く存在するが、その存在意義は不明である。本研究では細胞を用いたin vivo実験系および生化学的なin vitro実験系により、5hmCが存在する条件および生物学的意義の解明を目指す。 まず、本研究では5hmC検出法の開発に取り掛かった。この5hmCを一塩基レベルで解析するために、これまでにも他グループから様々な解析技術が報告されている。しかしながら、いずれの方法も酵素活性の不安定性やDNA分解などが問題となり、再現性よく5hmCを検出できる技術ではないと考えられる。そこで我々は、比較的安定に存在することができるタンパク質DNMT1を用いて5hmCを検出する新たな実験系を開発した。DNMT1は2本鎖ヘミメチル化DNAにはメチル基を導入できるが、ヘミヒドロキシメチル化にはメチル基を導入できない。平成27年度は、本技術を合成オリゴを使って検証した後、ゲノムDNAにも応用可能であることを示すことができた。 次年度はこの技術を用いて5hmCを検出することで、マウスES細胞におけるDNA脱メチル化制御機構を明らかにしたい。また、合成オリゴや再構成ヌクレオソームを使ってin vitro実験系における脱メチル化制御の分子機構を解析したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度はゲノムDNAにも再現性よく適応可能な5hmC検出法を確立することができた。この技術は平成28年度の研究計画(ES細胞における脱メチル化研究および試験管内での脱メチル化研究)に利用する。 また、平成28年度には再構成ヌクレオソームを用いて試験管内でTETタンパク質による脱メチル化を起こさせることを予定しているが、3種類のTETタンパク質の精製も準備できつつある。以上より研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1塩基レベルで効率よく5hmCを検出する技術を確立できたので、今後は(1) マウスES細胞を用いた脱メチル化解析および(2) 再構成ヌクレオソームを用いたTETタンパク質による脱メチル化制御メカニズムの解析を行う。解析は特にヒストン修飾とDNA脱メチル化の関連性に着目して進める予定である。
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