研究課題/領域番号 |
15K18459
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 慶 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00387961)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スプライシング / ケミカルバイオロジー / 比較ゲノム / 比較トランスクリプトーム / 筋ジストロフィー / バイオインフォマティクス / 個別化医療 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、「種間比較トランスクリプトーム解析」を行う対象として、マウス骨格筋培養細胞C2C12,およびヒト骨格筋細胞hSkMCを材料に選んだ。これらの細胞に対してDuchenne型筋ジストロフィーの治療薬候補であるTG003を20μM, 4時間の処理を行い、その前後においてRNAを取得し、高速シークエンサーIon ProtonでRNA-seq解析を行った。これらのRNA-seqデータに対して、MISO (Mixture-of-Isoforms)と呼ばれる手法を独自に修正した手法を用い、マウス、ヒトそれぞれにおいてTG003処理によりスプライシングの変化(スキップの促進)が起こるエキソンを特定した。特に、ヒトではTG003応答を示すが、マウスの相同エキソンではTG003応答性がない21組のエキソンについて、塩基配列の特徴を解析したところ、マウスのエキソン上流のイントロンではコンセンサスに近い形のポリピリミジントラクト配列を有していることが分かり、この強弱がTG003の効果の有無を作用する要素の1つであることが予測された。さらに、解析で見つかったTG003の標的エキソンの特徴を用い、決定木分析を行うことで、全ゲノムからTG003の標的エキソンを多く含んだエキソン群を抽出できることを確かめることができた。これは、スプライシング操作化合物で治療可能性のある遺伝病をゲノム塩基配列から見出すという大きな目標につながる成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたRNA-seqデータ取得やデータ解析への着手に加え、スプライシング評価方法MISOの改良版の作成、スプライシング操作化合物TG003の標的エキソンのもつ塩基配列の特徴の記述、決定木分析によるTG003標的エキソンンの予測までを達成することができた。さらに、これらの成果を論文発表、学会発表することもでき、当初の予定より大きく研究を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までに予定を超える進捗を得られたため、研究計画を前倒しし、ゲノム塩基配列の変化によりTG003への感受性がどのように変化するかを予測するシステム「個人ゲノム配列―薬剤感受性スコアリングシステム」の開発に取り組む。具体的には、様々なタイプが報告されているジストロフィン遺伝子におけるミューテーションについてTG003によりミューテーション含有エキソンがスキップできるかどうかの評価を行うシステムの開発を目指す。さらに、筋肉以外の組織においてTG003標的エキソンを解析するためのRNA-seqデータを取得し、また公的データベース(NCBI clinvar)を用いて、様々な遺伝子変異―疾患の 組み合わせに対して解析を行うことで、Duchenne型筋ジストロフィーに限定されず、TG003等のスプライシング操作薬で治療効果が見込める疾患をリスト化するためのシステムの開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は十分な研究成果が得られたため、データ取得に必要なキットの購入を一次中断し、データ解析や論文作成・学会発表の注力した。このため、予定よりも物品費の使用額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の進捗にあわせ実験計画を拡張・修正するため、平成27年度からの繰越金および平成28年度の請求額をあわせて、実験用キットの購入費や当初から予定していた解析用サーバーの購入等にあてる予定である。
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