研究実績の概要 |
3か年計画の最終年度となった平成29年度は、これまでに得られた、「スプライシング操作化合物TG003標的エキソンの種間比較解析(平成27年度、Sakuma, IIDA and Hagiwara. 2015)」の成果、および「個人ゲノム配列―薬剤感受性スコアリングシステム」(平成28年度)を組み合わせ、TG003標的エキソンの予測精度の向上に取り組んだ。これまで、ヒト骨格筋細胞を対象としたmRNA-seq解析結果から253個のTG003-スキッピング誘導エキソンが見つかっており、それらのエキソンの持つ塩基配列の特徴を、SpliceAID, SVM-BPfinder等のツールを使い定量化、さらにこれらの定量化情報をもとに、エキソン周辺の塩基配列を入力として個々のエキソンのTG003感受性を予測・スコアリングするツールの試作を進めてきた(本ツールで遺伝性疾患データベースからTG003で治療可能性のある疾患群の予測を可能としている、平成28年度)。このツールを用いて、TG003感受性エキソン群の再予測を試みたところ、予測正答率(Area Under the Curve)0.69を得ていた。これに対し種間比較解析で得られた個々のエキソン周辺の配列要素におけるTG003感受性への寄与の大きさを示す値を重み係数として導入した結果、予測正答率は0.72へと改善された。これにより、本研究課題おいて提案したように、「種間比較解析」が「個人ゲノム配列―薬剤感受性スコアリングシステム」の精度向上に寄与することを示すことができた。さらに、京都大学萩原正敏研究室における研究により得られた新規スプライシング操作化合物であるRECTAS(Yoshida et al. 2015)についても、ヒト-マウス間で種間比較解析を進め、本研究計画で確立した研究手法が他の化合物においても有用であることを示しつつある。
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