研究課題/領域番号 |
15K18464
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大林 武 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50397048)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝子共発現 / ネットワーク生物学 / シロイヌナズナ / データベース / 共発現データベース / ゲノム進化 |
研究実績の概要 |
植物組織別の遺伝子共発現ネットワークを構築し比較統合するため、複数の遺伝子共発現ネットワーク(特に小サンプルから構築された遺伝子共発現ネットワーク)を比較法を検討した。 遺伝子共発現の指標として広く用いられるピアソンの相関係数は、測定ノイズ存在下においてサンプル数の影響を大きく受けるため、サンプル数が異なる共発現を直接比較することに向かない。この問題に対してピアソンの相関係数を相互順位に変換した値(MR)が有効であることをすでに我々は発表している。本研究では、「データ再現性」「ゲノム配列との無矛盾性」「遺伝子機能」の観点から、本研究で用いる小規模サンプルに対してもMR値が有効であることを確認した。その一方で、MR値の特性(分散、歪度、尖度)がMR値の大きさに依存してしまう問題があることがわかった。小サンプル数に基づく共発現の比較では統計検定が必須となるが、多くのパラメトリックな統計検定は等分散を仮定している。検討を進めた結果、MR値を割合に変換したのちにロジット変換を行うことでこの問題を回避できることがわかった。 共発現値のロジット変換の有効性を検証するために、植物の共発現データベースATTED-II (http://atted.jp)の複数の共発現が利用できる4生物種に対して、ロジット変換共発現値とt検定による双子葉単子葉特異的共発現の検出を行ったところ、共発現値の広い範囲において系統特異的な共発現を多数検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小サンプルから構築された比較的質の低い共発現を取り扱うための統計検定の枠組みを構築し、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
小サンプル下の各共発現データの質の向上を行うと共に、組織別遺伝子共発現の比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り進んでいるが、技術補佐員の勤務時間の都合のため、予定していた額より謝金額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
概ね予定通りに進んでいるため、成果報告を中心とした、当初計画通りの予算執行を行う。
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