研究実績の概要 |
ChIP-seqサンプルの品質評価のための新規手法"SSP"をBioinformatics誌に発表した(doi: bty137)。本論文はプレプリントサーバbioRxivにも併せて投稿しており、オープンアクセスで誰でも閲覧可能である(doi: 10.1101/165050)。本手法により、これまで難しかった「broad markのS/N比の評価」、「ChIP-seqサンプルのマップリード分布の信頼性評価」、「従来法では除去できないPCR増幅によるリード分布の偏りの検出」が可能となる。本手法はGitHubで公開しており、誰でも利用可能である(https://github.com/rnakato/SSP)。 エピゲノム解析で得られる情報の価値をさらに高めるため、Hi-C法を用いた立体構造データ解析のパイプラインを構築した。Hi-Cデータから得られる染色体の大きな2分構造(コンパートメント)、立体相互作用のまとまり(TAD)、エンハンサー・プロモーター間相互作用をヒストン修飾ChIP-seq解析で得られるエピゲノム情報と統合し、遠位のエンハンサーと遺伝子の紐づけ、broad markのヒストン修飾境界の高精度な同定、さまざまなエピゲノム状態と立体相互作用頻度との関連など、いくつかの新規な知見が得られている。この成果について、現在論文準備中である。 研究成果を社会に発信する方法として、申請者がこれまで開発したDROMPA, SSPを含めたChIP-seq解析のノウハウを解説するブログを作成した(http://rnakato.hatenablog.jp/)。ChIP-seq解析に慣れていない初心者や学生にわかりやすくするため、平易な日本語で記述しており、これまでのところ好評を得ている。本ブログは本課題終了後も引き続き更新を続ける予定である。
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