研究課題/領域番号 |
15K18469
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
楳原 琢哉 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (00415548)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アミノアシルtRNA合成酵素 / 翻訳制御 / アセチル化 |
研究実績の概要 |
近年、真正細菌においてもタンパク質中のリジンのアセチル化が数多く発見され、重要なシグナルとして機能していることが推測されているが、その役割の多くは分かっていない。本研究は大腸菌内でアセチル化されることが報告されたアミノアシル-tRNA合成酵素に注目して解析し、真正細菌のアセチル化による翻訳制御やアセチル化ネットワークの理解へと展開するための分子基盤研究を行うことを目的としている。 大腸菌AlaRS、TyrRS、ThrRSの活性に影響を及ぼすと推測されるリジン残基に導入されるアセチル化に注目した。アセチル化タンパク質再構成システムを用いて、それらのアセチル化の再構成を試みアセチル化AlaRS、TyrRS、ThrRSを得ることに成功した。この時アセチル化の導入による酵素の不安定化は起こらず、活性測定に十分な量の酵素が得られた。 AlaRSはアセチル化の導入によって活性が大きく減弱することが分かった。この現象がアセチル化の導入によるAlaRSの構造変化に由来するかどうかを調べるため、CDスペクトル解析を行った。アセチル化AlaRSのスペクトルは野生型のそれと同様であったことから、アセチル化が直接的にAlaRSの活性を減弱させることが示唆された。更に、脱アセチル化酵素(CobB)がAlaRSの脱アセチル化に関わっていることを、CobBの阻害剤であるニコチンアミドやCobB破壊大腸菌を用いて明らかにした。これらの結果から、AlaRSに導入されるアセチル化はタンパク質翻訳でブレーキとして働き、CobBがそれを解除していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定してたアセチル化AlaRS、TyrRS、ThrRSを得ることに成功し、AlaRSについては先行して解析が進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
AlaRSと同様に、TyrRS、ThrRSの活性に対するアセチル化の影響、およびCobBの基質となるかどうかを調べる。また、どのような条件でそれらのaaRSにアセチル化が導入されるかを調べるため、種々の培養条件で発現させた各酵素を精製し、抗アセチルリジン抗体や質量分析により解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
設備品や消耗品の購に関して、キャンペーン等を利用して節約しながら研究を進めたため、当初予定額より安価に済ませることができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
繰り越し金は研究計画をスムーズかつ迅速に進めるための消耗品購入費に充てる予定である。
|