研究課題/領域番号 |
15K18472
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠山 弘法 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (00571837)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カンボジア / DNAバーコーディング / 新種記載 / Garcinia / Euphorbia |
研究実績の概要 |
本年度は、群集系統解析のベースとなるDNAシーケンスと種同定を中心に行った。カンボジアには、先行研究を行ったKampong Thom州以外にも、Koh Kong州、Siem Reap州、Kratie州、Ratanakiri州に、それぞれ0.25 ha × 20プロットがある。カンボジア全土での多様性評価に向けて、すべてのプロット樹種のDNAバーコーディング領域(rbcLとmatK)のシーケンスを行い、文献標本調査による種同定を行った。また、参考のためにBokor国立公園の種同定も並行して進めた。 カンボジア、Koh Kong州で306個体、Siem Reap州で289個体、Kratie州で106個体、Ratanakiri州で296個体においてrbcLとmatKの配列を決定した。Kratieにおいては同定作業を終え、27科を含む83種がプロット内で生育していた。Bokor国立公園で採集されたGarcinia(フクギ属)とEuphorbia(トウダイグサ属)の2種が新種だったので新種記載を行った。特にEuphorbiaは、形質比較と系統解析の結果、これまで知られているどの節にも属さず、アジアの種よりもアフリカの種に近縁であったので、新種とともに新節の記載も行った。 カンボジアは植物相調査が他国に比べて遅れている国の一つである。本研究を通して、カンボジアのプロット樹種997個体のシーケンスを行い、プロット樹種の同定を進め、また、2種の新種記載を行った事で、カンボジアの植物相の解明に貢献することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度を通して、カンボジアのプロットデータの整備、プロット樹種997個体のシーケンス、プロット樹種の種同定を進めることができた。また、2種の新種記載を行うことができた。群集系統解析のためにベースを整えることができたので、進捗状況としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度シーケンスしたDNA配列を用いて、系統解析、群集系統解析を行い、多様性に影響を与える熱帯林伐採を定量化する。特に、系統樹の不確実性を考慮した解析を行うことで、検定結果の頑健性を確かめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額で実験試薬を購入できなかったので次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
DNAシーケンスに必要な実験試薬を購入予定。
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