研究課題
本研究では、複製開始蛋白質DnaAの活性化を担うDNA因子DARS2 活性化の分子機構、及び適時的なDARS2活性化の制御様式を解明することを目的とする。各研究計画について、下記の通り進展があった。A. 核様体因子IHF、Fis によるDARS2 活性化の分子機構の解明代表者は研究計画に沿って、DARS2のDnaA結合部位の変異体解析を進め、細胞内で複製開始が過剰に活性化されるDARS2変異体を単離した。加えて、最終年度においてゲルシフト解析によりDARS2上でのDnaA複合体形成への影響が示唆された。これらの解析は、DARS2上で形成される特異的な高次DnaA複合体の形成様式の解明に繋がる。B. DARS2 による適時的なDnaA 活性化機構の解明代表者は、ゲルシフト法を基にした簡便なDARS2-IHF複合体解離の解析系を構築し、蛋白質粗抽出液からIHF解離因子を探索した。最終年度において、カラムクロマトグラフィーにより高いIHF解離活性を持つ蛋白質画分の精製に成功し、マススペクトル解析により候補因子の同定に成功した。さらに、代表者はIHF結合の制御にDNA超らせん構造が重要であることを見出し、論文発表を行った (2017 JBC)。また、共同研究により細胞周期に応じたIHF結合制御のゲノムワイド解析を行い、複製開始時に広くIHFの結合が低下する事が示唆された (論文執筆中)。この結果は、DARS2以外のDNA領域をIHF解離因子が認識する可能性を示唆している。加えて、DARS2の細胞内局在解析について、研究協力者の解析により染色体DARS2の位置を変化させた変異株でDARS2による複製開始促進能が低下することが分かった (2016 Genes Cells)。これらの結果は、適時的なIHF結合制御とDARS2局在制御が適時的な複製開始に重要であることを示唆している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
J. Biol. Chem.
巻: 292 ページ: 1251-1266
10.1074/jbc.M116.762815
Genes to Cells
巻: 21 ページ: 1015-1023
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http://bunsei.phar.kyushu-u.ac.jp