研究課題/領域番号 |
15K18484
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡部 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50432357)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、巨大カルシウムチャネルであるリアノジン受容体(RyR)について、RyRおよび制御タンパク質であるカルセクエストリン(CSQ)やジャンクティン(JCT)の構造解析によってRyRの開閉制御機構の解明を目的としている。RyRについては、ヒト由来RyR1およびRyR2について、ヒト培養細胞を用いた発現系の構築を進めた。全長領域のクローニングには成功したが、約20kbp以上の全長の発現プラスミドが、大腸菌を用いたプラスミド調製過程において、非常に分解されやすい性質であることが分かった。現在、種々の発現プラスミドおよびプラスミド調製用の大腸菌株などについて、さらなる条件検討を続けている。 一方、カルシウム貯蔵に関わるCSQについては、大腸菌発現系を用いて組換えタンパク質の精製に成功した。SEC-MALSの結果から,Ca非結合状態では、長く延長した構造を取り、Caイオンが結合に伴って、コンパクトな構造へとダイナミックに変化していることが明らかになった。現在、Ca非結合状態ついて、結晶構造解析およびX線小角散乱での構造解析に取り組んでいる。また、アンカー膜タンパク質であるJCTについても,ルーメン側ドメインについて、いくつの発現コンストラクトを作成し、大腸菌発現系を用いて組換えタンパク質の精製に成功した。JCTは構造が未だ報告されていないため、まずは単独での構造解析を目指して、結晶化に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RyRの発現系の構築については、当初の予定よりもやや遅れている。一方、CSQおよびJCTについては、精製タンパク質の調製に成功しており、結晶化や機能解析が進行中である。 したがって、全体的には、おおむね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
RyRについては、ヒト培養細胞による発現系および精製条件の検討に引き続き取り組む。CSQについては,従来とは異なる状態について,結晶構造解析およびSAXSに取り組む。JCTについては、アモルファスが得られている条件をもとに、結晶化条件の最適化に取り組む。またCSQとJCTとの相互作用実験を行ない,結晶化に適した複合体の調製に取り組む。
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