研究課題/領域番号 |
15K18491
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
原 幸大 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (80729343)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | X線結晶構造解析 / 複合体 / 構造生物学 / DNA修復 |
研究実績の概要 |
TFII-Iは申請者によって新たに同定された損傷乗越えDNA合成(TLS)に必須のタンパク質であり、DNAの損傷部位で停止した複製因子PCNAに損傷乗越え型ポリメラーゼ(Pol ζ)をリクルートする機能を持つ。遺伝子疾患やがん化の分子基盤を解明するために、TFII-Iを中心とした新規の分子間相互作用のメカニズムを原子レベルで解明することが求められている。本研究では新規TLS因子であるTFII-Iに着目し、PCNAやPol ζと形成する高次複合体の立体構造と相互作用をX線結晶構造解析によって明らかにし、創薬の構造基盤を得ることを目的とする。H27年度はTFII-IのN末端ドメイン、TFII-I-PCNA複合体、TFII-I-Rev7-Rev3複合体の調製と結晶化、X線回折実験を行った。TFII-IのN末端ドメインに関しては微結晶が得られており、今後、X線回折実験に適した結晶の最適化を進めていく。TFII-I-PCNA複合体に関しては4オングストローム分解能の回折データが得られた。今後は、構造解析に適したより高分解能の回折データ収集を目指す。TFII-I-Rev7-Rev3複合体に関しては、まだ現在までに結晶が得られていない。従って、TFII-Iの領域を変えて結晶化条件の探索を再度行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TFII-IのN末端ドメイン、TFII-I-PCNA複合体、TFII-I-Rev7-Rev3複合体の全ての系で調製方法を確立した。また、TFII-IのN末端ドメイン、TFII-I-PCNA複合体に関しては既に結晶を得ており、低分解能ではあるが回折データを収集できた。TFII-I-Rev7-Rev3複合体に関しても引き続き結晶化条件の探索を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度はTFII-IのN末端ドメイン、TFII-I-PCNA複合体、TFII-I-Rev7-Rev3複合体の構造機能解析を進める。 1) TFII-IのN末端ドメイン、TFII-I_PCNA複合体 H27年度はTFII-IのN末端ドメイン、TFII-I-PCNA複合体の調製方法を確立し、結晶を得ることが出来た。H28年度は結晶の最適化を行い、より高分解能の回折データを得る。また、位相決定のためのセレノメチオニン置換体や重原子誘導体の調製を行い、X線結晶構造解析を進める。さらに、変異体を用いた生化学解析から、二量体化や複合体形成に重要なアミノ酸残基を同定する。 3) TFII-I-Rev7-Rev3複合体 H27年度は複合体の調製に成功したが、未だ複合体の結晶は得られていない。H28年度はTFII-Iの領域を変えて複合体を調製し、結晶化条件の再探索、及びX線結晶構造解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度はTAKARA PCR Thermal Cycler Dice Gradient(タカラバイオ社製)の購入を予定していたが、共通機器を利用して十分な実験が行えたため、機器を導入する必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は組換えタンパク質の調製を精力的に行っていくため、タンパク質精製用のFPLCシステムを多用することが見込まれるため、FPLCシステムの導入を現在、検討している。
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