研究課題
藍色細菌の時計タンパク質は、KaiA、KaiBおよびKaiCから構成され、3つのタンパク質によって時間振動が生み出される。KaiAおよびKaiBはKaiCと相互作用し、時計関連タンパク質SasAもまた、KaiCと相互作用する。本研究では、Kai生物時計機構が時間情報を生み出す機構を明らかにするために、Kaiタンパク質複合体の構造解析を行った。① KaiBとKaiCの相互作用において、抗リン酸化変異体(KaiCDT)が最も効率よく複合体を形成することが明らかになった。超分子質量分析法により、KaiBはKaiCDT6量体に対し、高い協同性をもって6分子結合することを明らかにした。さらに、中性子小角散乱法により、KaiC6量体上に6分子のKaiBがリング上に配置されていることを見出した。この相互作用界面は発信系に関わるSasAとKaiCの相互作用界面を完全に覆い隠すものであったため、KaiBの強い正の協同生によって、SasAが一斉に解離するという発信メカニズムが想定される。② 概日振動中におけるKaiA, KaiB, KaiCの複合体形成を調査した。KaiCのリン酸化期にはKaiA-KaiB-KaiC複合体が、脱リン酸化期にはKaiA-KaiC複合体が観察された。KaiA-KaiB-KaiC複合体ではKaiBがKaiAと結合することで、KaiAとKaiCとの相互作用を阻害し、KaiAによるKaiCのリン酸化の促進を負に制御している可能性が示唆された。③ SasA-KaiC複合体のキャラクタライズを行った。超分子質量分析によりSasAはKaiBのような協同性は示さず、KaiC6量体に対し結合する分子数が濃度依存的に増えていくことが明らかになった。
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: 1-7
10.1038/srep35567.
Genes to Cells
巻: 8 ページ: 890-900
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