チトクロム酸化酵素(CcO)は呼吸で取り込まれた酸素からエネルギーを生み出すタンパク質であり、生体エネルギー生産の中心である。本酵素の機能解明は学術的に重要なだけでなく、低酸素症治療など臨床への応用も期待されている。本研究では、従来のX線の10億倍の強度と約1000分の1のパルス幅を持つX線自由電子レーザー(XFEL)を用いて、チトクロム酸化酵素の無損傷結晶構造を決定することに成功した。さらに、XFELの極短パルスという特徴を活かし、光照射によって励起したCcOの反応開始後1億から100万分の1秒後の中間体構造をXFELによって精密に決定した。
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