ピロリ菌由来のCagAは胃がんや胃潰瘍などの原因因子として知られている。CagA分子は硬い構造を持つ構造領域と特定の構造を持たない天然変性領域からできている。これまでの研究から天然変性領域が構造領域と分子内で相互作用することによって投げ縄のような構造を形成することでCagAの機能発現を調整していることが示唆されている。本研究ではこの調節機構の詳細を明らかにするため、NMRやX線小角散乱、円偏光二色性解析などの手法を組み合わせて、投げ縄構造形成時の動的構造を解析した。その結果、天然変性領域の分子内相互作用部位は投げ縄構造形成時に構造変化を起こし、ヘリックス構造をとることが明らかになった。
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