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2016 年度 実施状況報告書

ゲノムワイドスクリーニングに基づく神経筋シナプス形成メカニズムの包括的解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K18500
研究機関東京大学

研究代表者

植田 亮  東京大学, 医科学研究所, 助教 (10445025)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードシグナル伝達 / 神経科学 / 神経筋疾患
研究実績の概要

神経筋接合部(NMJ)は、運動神経と骨格筋を結ぶ個体の運動制御に必須のシナプスである。その形成には筋管に存在する受容体型チロシンキナーゼMuSKと、その活性化により惹起される「NMJ形成シグナル」の駆動が重要である。「NMJ形成シグナル」はNMJ異常に起因する先天性筋無力症候群に加え、筋萎縮性側索硬化症や加齢性筋萎縮等において観察されるNMJ形成不全の理解・治療法確立において重要な位置づけにある。本研究に置いては、NMJ関連分子の探索を実施し、未だブラックボックスである「NMJ形成シグナル」の包括的理解の端緒を開くことを目的としている。
平成28年度は、平成27年度に同定したNMJ形成関連因子候補の、個体におけるNMJ形成への関与の検証をマウスにおける発現抑制の実験系を用いて進めた。候補遺伝子の発現を抑制したマウス骨格筋においてNMJの形態を観察した結果、遺伝子Xの発現抑制により、NMJの断片化が惹起されることを見出し、遺伝子XがNMJの形成・維持に関与することが示唆された。化合物スクリーニングについては、前年度単離したNMJ形成促進または阻害活性を有する低分子化合物の標的タンパク質の探索を開始するには至らなかった。しかしながら、既知生理活性物質のライブラリーを入手し、そのスクリーニングを実施した結果、従来NMJとの関連が報告されていない酵素Yの複数の阻害剤がNMJ形成促進活性を示すことを見出した。この結果から、酵素YがNMJ形成シグナルを負に制御する可能性が示唆されたため、酵素Yのマウスにおける発現抑制の実験系を用いてNMJ形成への関与の検証を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

化合物スクリーニング、及び遺伝子スクリーニング共に、NMJ形成シグナルに関与する可能性のある因子の単離に成功しており、当初の予定通りマウスにおける当該因子群のNMJ形成における機能を解析する段階に至っているため。

今後の研究の推進方策

単離したNMJ形成シグナル関連因子群のNMJ形成における機能を解析する。作製した当該因子の発現抑制マウスにおいて、MuSKを始めとする既知のNMJ関連因子の発現・活性・動態を調べ、当該因子群の機能する経路・段階を解明する。必要があれば、骨格筋特異的遺伝子欠損マウスの導入、結合タンパク質の探索も視野に入れる。また、遺伝子スクリーニングでは、候補因子の同定、及び同定した候補因子のマウスにおける発現抑制系を用いた検証を継続して実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] The carboxyl-terminal region of Dok-7 plays a key, but not essential, role in activation of muscle-specific receptor kinase MuSK and neuromuscular synapse formation2017

    • 著者名/発表者名
      Roy Ueta, Tohru Tezuka, Yosuke Izawa, Sadanori Miyoshi, Satoru Nagatoishi, Kouhei Tsumoto and Yuji Yamanashi
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 161 ページ: 269-277

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/jb/mvw073

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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