研究課題
ミトコンドリアは融合と分裂のバランスによって、自身の形態を変化させ、様々な環境に適応している。また、機能不全に陥ったミトコンドリアは、ミトコンドリア選択的なオートファジー(マイトファジー)によって分解される。これまで、マイトファジー時には、一旦ミトコンドリア分裂が亢進し、小さく断片化したミトコンドリアが形成されたのちに、オートファジーによって分解されると考えられてきた。しかし、ミトコンドリア分裂に必須なタンパク質である dynamin-related protein 1 (Drp1) を欠損した酵母細胞、哺乳類培養細胞においてもマイトファジーが検出されることが分かってきた。しかし、マイトファジーによってミトコンドリアが分解されるためには、オートファゴソームに包み込まれる必要があるため、ミトコンドリアの分裂による断片化は必須であると考えられる。そこで、本研究ではマイトファジー時にどのようにしてミトコンドリアが Drp1 非依存的にオートファゴソームに包み込まれるのかを解明することを目的とした。平成27年度までに、マイトファジー時には Drp1 非依存的にミトコンドリアが断片化することを、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡観察によって明らかにしていた。平成28年度では、どのようにしてミトコンドリアが断片化し、オートファゴソームに包み込まれるのかをタイムラプス解析によって検討した。その結果、オートファゴソームの形成起点は、断片化したミトコンドリアではなく、チューブ状のミトコンドリア上であること、その部分で隔離膜の伸長とともにミトコンドリアの分裂が起きること、さらにこの過程が隔離膜の伸長因子に依存していることを明らかにした。これにより、これまでのモデルとは異なる、新しいマイトファジー時のミトコンドリア分裂機構を提唱することができた。
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Methods in Molecular Biology
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