研究課題
Notch シグナルは、細胞間コミュニケーションを司る主要なシグナル伝達経路であり、発生過程における多彩な細胞運命の決定プロセスに関与する。申請者は、Notch 受容体上におこる細胞外 O-GlcNAc 修飾の欠損が先天性疾患アダムズ-オリバー症候群 (AOS) の原因であることを明らかにした[Ogawa et al., JBC. 2015]。2014年8月にAOS の原因遺伝子として NOTCH1 が報告されたが、変異により Notch 受容体のどの分子機能が異常になるかは不明である。本研究は、AOS 変異と他の疾患で報告されている NOTCH1 変異の分子機能異常と比較することで、生体における厳密な Notch シグナルの制御が、いつ、どのような機能を持つかを明らかにすることを目的とした。今年度は、前年度に作成した AOS で発見された Notch1 遺伝子変異体を使用して、Notch1 遺伝子変異体の分子機能異常の解析をおこなった。その結果、AOS 型 Notch1 遺伝子変異体は Notch シグナルの異常が認められることが分かった。これは、リガンド結合に重要なEGFドメイン付近に変異がある Notch1 遺伝子変異体においては、リガンドとの結合性に異常が生じる為であることが分かった。一方、それ以外の Notch1 遺伝子変異体は局在性やタンパク質の安定性に異常が認められることを見出した。これらの結果から、AOSはNotch シグナル異常症であり、特に、リガンドとの相互作用に異常が生じていることが分かった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
eLife
巻: 6 ページ: e24419
10.7554/eLife.24419
J. Biol. Chem.
巻: 291(32) ページ: 16630-16643
10.1074/jbc.M115.708834
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20170411_med_1.pdf