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2015 年度 実施状況報告書

品質管理にとどまらない小胞体関連分解(ERAD)の生理機能の探求

研究課題

研究課題/領域番号 15K18503
研究機関名古屋大学

研究代表者

中務 邦雄  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (90547522)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード小胞体 / タンパク質 / 品質管理機構 / ユビキチン / プロテアソーム / タンパク質分解
研究実績の概要

小胞体の構造異常タンパク質は特異的に認識され、ERAD(Endoplasmic Reticulum-Associated Degradation)によって分解・除去される。近年、ERADは異常タンパク質を無毒化する品質管理としての役割だけでなく、天然タンパク質の活性制御にも寄与することが示されつつある。しかしERADによって分解される天然の基質は少数しか同定されていない。ERADには未知の基質を介した未知の生理的役割があると考えられる。そこで本研究では、ERADの天然の基質を網羅的に同定して、「分解装置による認識機構」と「分解の生理的意義」の解明を目指している。
平成27年度は、実施計画に記した3つのタンパク質について特異的抗体を取得して、細胞内における分解を調べた。その結果、小胞体から形成されると考えられている脂質滴に局在するタンパク質は、C末端にエピトープタグを付加すると小胞体にmislocalizeしてERADによって分解されることを見出した。しかしエピトープタグを付加していない内在性基質の場合、脂質滴に正しく輸送されが、この場合もユビキチン・プロテアソーム系によって分解されることを見出した。現在既にE3リガーゼの有力な候補を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ERADに関わるE3リガーゼHrd1およびDoa10について天然の基質を見つけるがもっとも理想的だが、小胞体または小胞体から形成される脂質滴に局在するタンパク質について、他のE3リガーゼに依存して分解される基質の発見および分解の生理的意義の解明も同等に重要だと考えている。

今後の研究の推進方策

平成27年度に見出した脂質滴に局在するタンパク質の分解について、関連するE3リガーゼを完全に決定して、認識と分解の意義について、生化学的、遺伝学的、細胞生物学的解析を進める。ウサギポリクローナル抗体は既に取得しており、必要に応じて精製して使用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

ポリクローナル抗体の作製と消耗品の購入に大部分をあてているが、個々の基質の解析を先に進め、抗体の作製を後回しにしたため。

次年度使用額の使用計画

今年度出来る限り抗体を作製して、分解基質の検索を進めると同時に、27年度から引き続いて個々の解析も進める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The role of Cullin 5-containing ubiquitin ligases2016

    • 著者名/発表者名
      Okumura, F., Joo-Okumura, A., Nakatsukasa, K., and Kamura, T.
    • 雑誌名

      Cell division

      巻: 11 ページ: 1-16

    • DOI

      doi: 10.1186/s13008-016-0016-3. eCollection 2016

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Parallel regulation of VHL disease by pVHL-mediated degradation of B-Myb and HIF-α.2016

    • 著者名/発表者名
      Okumura, F., Uematsu K., Byrne S.D., Hirano M., Joo-Okumura A., Nishikimi A., Shuin T., Fukui Y., Nakatsukasa K., and Kamura T.
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology

      巻: 36 ページ: 1803-1817

    • DOI

      doi: 10.1128/MCB.00067-16. Print 2016 Jun 15.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Subcellular Fractionation Analysis of the Extraction of Ubiquitinated Polytopic Membrane Substrate during ER-Associated Degradation.2016

    • 著者名/発表者名
      *Nakatsukasa, K., and *Kamura, T.
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 11 ページ: 1-17

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0148327. eCollection

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The Ubiquitin Ligase SCFUcc1 Acts as a Metabolic Switch for the Glyoxylate Cycle.2015

    • 著者名/発表者名
      *Nakatsukasa, K., Nishimura, T., Byrne, S.D., Okamoto, M., Takahashi-Nakaguchi, A., Chibana, H., Okumura, F., and *Kamura, T.
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: 59 ページ: 22-34

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2015.04.013

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Proteolytic regulation of metabolic enzymes by E3 ubiquitin ligase complexes: lessons from yeast.2015

    • 著者名/発表者名
      *Nakatsukasa, K., Okumura, F., *Kamura, T.
    • 雑誌名

      Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology

      巻: 50 ページ: 489-502

    • DOI

      10.3109/10409238.2015.1081869

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] SCFUcc1ユビキチンリガーゼはグリオキシル酸回路の代謝スイッチとして機能する2015

    • 著者名/発表者名
      Nakatsukasa, K. and Kamura T.
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 33 ページ: 2613-2616

  • [学会発表] Fボックスタンパク質Ucc1による代謝制御機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      中務邦雄
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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