研究課題
申請者が発見した高度好熱菌由来の光受容膜タンパク質・サーモフィリックロドプシン(TR)について,高い熱安定性を生み出す構造的要因を明らかにすること,さまざまな物理的・化学的刺激に対する構造安定性を定量的に評価することを目的に,本研究を実施している。本研究で得られた知見をもとに,他の膜タンパク質への適用も可能な構造安定化法の確立や,TRの高い安定性を利用した計測 や材料応用への展開を目指している。研究の進捗状況を考慮し、平成29年度には上記の目標を発展させ、TRの分子機能の解析に焦点を置いた。TRのプロトンポンプ機能の詳細解明を目指して、数種類のアミノ酸置換体の作成した。それらについて、紫外可視吸収分光法および時間分解吸収分光法を用いて、吸収スペクトルおよび、プロトン輸送を担う光反応中間体の形成・崩壊に対するpH依存性を細かく調査した。データ解析から、プロトン輸送に関わるアミノ酸残基の酸解離定数(pKa)を算出した。本研究を進める中で、TRのプロトン輸送機能に関する珍しい現象を発見した。その詳細を明らかにするため、さらなる分光解析を行った。また、TRの分子内部で起こる光反応中間体の生成・崩壊に伴うプロトン移動反応を、早い時間分解能で観測できる独自の手法(ITO(酸化インジウムスズ)電極法;Tamogami et al. (2009) Photochem. Photobiol. 85, 578-589)を用いて計測した。研究は現在進行中であり、今後はさらに詳細な検討および計測・解析を進める。
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http://altair.sci.hokudai.ac.jp/infana/