黄色ブドウ球菌に対するファージ療法の実用化には、黄色ブドウ球菌ファージの感染・増殖機構を理解する必要がある。そこで、黄色ブドウ球菌ファージS6、S13’、S25-3のクライオ電顕による構造解析をおこなった。Zernike位相差クライオ電顕の観察により、S6ファージの尾部先端には、非常に長い針状構造が見られていたが、それは他の黄色ブドウ球菌ファージS13’やS25-3の尾部先端には見られなかった。この結果は、これらのファージの宿主認識機構が異なっていることを示唆している。また、S13’のクライオ電顕単粒子解析では、頭部と尾部の主要な構造に関しては、近原子分解能で構造を決定することに成功した。
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