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2015 年度 実施状況報告書

プロテオロドプシンのプロトン輸送機構における中間体構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K18523
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

保坂 俊彰  国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (40462725)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードX線結晶構造解析
研究実績の概要

海洋性細菌の細胞膜に存在するプロテオロドプシンは、レチナールが結合した光駆動プロトンポンプであり、光エネルギーを生体エネルギーに変換する役割を担っている。海洋有光層中の約8割の細菌にその存在が示唆され、4000を超えるホモログの遺伝子データが登録されている。この総存在量から海洋生態系全体のエネルギー循環に大きな役割を果たすと考えられている。このプロテオロドプシンの光駆動ポンプ機構解明には中間体の構造を知ることが重要であるという観点から本研究では、プロテオロドプシンの野生型や変異体、光反応中間体の構造解析を目的として研究を進めてきた。
平成27年度は、研究実施計画に基づいて、大腸菌無細胞合成系を用いてプロテオロドプシンとその変異体を合成・精製して、① SACLAでのserial femtosecond crystallographyによる構造解析、② SPring-8 BL32XUにおける変異体の構造解析に成功した。SACLAで得られた構造は、約3.1 Aの分解能であり、放射線損傷の無いプロテオロドプシンの構造を得ることができた。この構造は放射光で得られた構造とほとんど同じであることから、SACLAにおける中間体構造解明実験のための足がかりとなった。また、光吸収波長が30 nm Red-shiftする変異体の構造解析により、光吸収反応メカニズムの解明につながった。現在、より高分解能の構造解析を目指した結晶化を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SACLAでのserial femtosecond crystallographyによる構造解析と、変異体の構造解析に成功している部分は、当初の予定通りに進捗している。今後は、詳細なメカニズム解明のために、より高分解能のデータ収集を行う必要がある。また、中間体構造解析を目的とした、SACLAのビームタイム申請を行っているが、申請がまだ採択されていない点が、当初予定よりも遅れいてる。

今後の研究の推進方策

引き続き、多くの結晶化条件を検討し、高分解能の回折を与えるより良質な結晶作成に尽力する。また、SACLAのビームタイムを得るために、より多くの予備データを蓄積し、また、他の様々な微生物型ロドプシン類の結晶を作成し、SACLAでの構造解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

SALCA用の微小結晶作成効率が良かったためと、変異体の結晶作成が順調に進んだため、材料として用いた大腸菌無細胞合成試薬の使用量が予想より少なかったため、残額が生じた。

次年度使用額の使用計画

しかしながら、SACLAにおいて中間体構造解明の為の実験が始まると、多数回の実験用に多量の結晶調製試薬費と出張旅費が必要になってくるために、2016年度に次年度使用を行うことにした。

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公開日: 2017-01-06  

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