研究課題/領域番号 |
15K18552
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 結子 (関本結子) 東京工業大学, 地球生命研究所, 助教 (60422557)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジャスモン酸 / ジベレリン / 輸送体 |
研究実績の概要 |
ジベレリンとジャスモン酸はいずれも花の発達、特に雄しべの発達に重要であり、それぞれの生合成遺伝子や情報伝達因子の欠損が雄性不稔を引き起こすことが知られている。ジベレリンやジャスモン酸の生合成遺伝子はいずれも花の発達過程で発現することが知られている。申請者は、輸送体タンパク質であるGTR1/NPF2.10に着目し、花芽におけるジャスモン酸/ジベレリンの詳細な動態を明らかにすることを試みている。gtr1変異体の花ではGA1およびGA4の含量が野生株に比べて低下していることから、GTR1によって活性型ジベレリンが輸送されている可能性が考えられる。一方、申請者らの生化学的解析の結果から、GTR1は、活性型ジベレリン、活性型ジャスモン酸、グルコシノレートのいずれも輸送することが示されている。in vivoの花芽におけるGTR1の基質を明らかにするためには、上記3つの詳細な局在を知る必要がある。 本年度は、これらの局在を明らかにするために、ジベレリンおよびジャスモン酸の生合成/分解を担う酵素遺伝子の花芽での発現解析を行った。また、ジベレリン/ジャスモン酸/グルコシノレート共存下では、GTR1がグルコシノレートを優先的に輸送することを見出したため(Saito et al., 2015 Nature commun.)、GTR1のin vivoでの基質を明らかにするためには花の発達過程における詳細なグルコシノレートの蓄積パターンを調べることが重要である。グルコシノレートは含硫化合物であり、S細胞という特定の細胞に濃縮されている。このため、エネルギー分散型X線分析装置を用いて硫黄の分布状態を検出することでグルコシノレートの局在を明らかにできると考え、雄しべでのグルコシノレートの局在を観察するための系を構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EDX-SEM利用の都合上、申請時の予定を繰り上げて平成27年度から着手した。ジベレリンやジャスモン酸の局在を可視化するための形質転換体の作成は平成28年度も継続して行う。
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今後の研究の推進方策 |
①promoterGTR1-GTR1-YFPおよびpromoterGTR2-GTR2-YFPを導入した形質転換体を作成し、花芽での蛍光タンパク質の局在を明らかにする。
②DELLAタンパク質とGUSもしくはYFPとの融合タンパク質を恒常的に発現する形質転換体を作成し、コントロールと比較しながら花芽発達過程でのGUS染色パターンを詳細に観察する。gtr1変異体にも同様に上記のコンストラクトを導入し、GTRの欠損によってGUS染色パターンもしくはがどのように変化するかを調べる
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に使用予定だった実験機器の利用を平成27年度から繰り上げて開始した。実験遂行の順を入れ替えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度中に使用予定がなかった試薬・消耗品類は平成28年度に購入することとした。
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