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2015 年度 実施状況報告書

気孔葉緑体シグナルの探索および新奇気孔葉緑体形成因子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K18556
研究機関九州大学

研究代表者

祢宜 淳太郎  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (70529099)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード気孔 / 葉緑体
研究実績の概要

気孔は一対の孔辺細胞からなり、孔辺細胞には葉緑体が存在する。孔辺細胞における葉緑体の機能については諸説あるが、不明な点が多い。また気孔葉緑体の形成メカニズムも全く分っていない。そこで、気孔における葉緑体の役割を明らかにするために、気孔の葉緑体の自家蛍光がほとんど観察されない変異体gles1を単離した。この変異体では、CO2及び光に対する気孔応答性が低下していることが分かり、ABAに対する応答性はほぼ正常であった。さらに気孔閉鎖を促すS型陰イオンチャネルの活性が、CO2特異的に阻害されることが分かった。気孔葉緑体が、気孔開閉メカニズムにおいて、重要な役割を果たしていることが示唆されたが、どのように孔辺細胞内のイオンバランス制御に関わっているのか、その仕組みは不明である。 そこで、光やCO2などの環境シグナルを感知した気孔葉緑体は、葉緑体シグナルをイオンチャネルやポンプなどに伝えてイオンバランス制御をするという作業仮説をたてた。葉緑体シグナルの実体を明らかにするため、まずイオンチャネルの活性制御に関わると考えられているATP及びカルシウムに着目し、その濃度変化を明らかにすることにした。ATP及びカルシウムセンサータンパクを発現させた植物を用いて、環境刺激を与えたときの、孔辺細胞内の濃度変化をリアルタイムでモニターした結果、HCO3-刺激を加えることで、一過的に孔辺細胞内のカルシウム濃度が上昇することが分かった。一方、ATP濃度に関しては大きく変化しないことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

気孔の葉緑体が気孔開閉制御に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、研究目標としていた孔辺細胞内のATP及びカルシウムイオン濃度変化をリアルタイムでモニターする実験系を構築することができた。この実験系を用いて、気孔の葉緑体分化が阻害されたgles1変異体を解析することで、葉緑体シグナルの一端が明らかになると期待される。

今後の研究の推進方策

カルシウムセンサータンパクを発現させたgles1変異体を用いて、環境刺激を与えた際のイオン濃度変化をモニターし、気孔葉緑体がカルシウムシグナルに関与しているのかを精査する。また、変異体の原因遺伝子の機能解析を進めることで、気孔葉緑体形成の分子メカニズムを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

物品費の使用額が当初の予定よりも少なく済んだため。

次年度使用額の使用計画

次年度で、遺伝子工学試薬を使った実験を多数計画しているので、その実験にあてる予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of California at San Diego(U.S.A.)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of California at San Diego
  • [雑誌論文] CO2 sensing and stomatal conductance regulation: advances and open questions.2016

    • 著者名/発表者名
      Engineer, C., Hashimoto-Sugimoto, M., Negi, J., Rappel, W-J., Iba, K. and Schroeder, J.
    • 雑誌名

      Trends Plant Sci.

      巻: 21 ページ: 16-30

    • DOI

      doi: 10.1016/j.tplants.2015.08.014

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The transmembrane region of guard cell SLAC1 channels perceives CO2 signals via an ABA-independent pathway in Arabidopsis.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Y., Negi, J., Wang, C., Isogai, Y., Schroeder, J.I. and Iba, K.
    • 雑誌名

      Plant Cell

      巻: 28 ページ: 557-567

    • DOI

      doi: 10.​1105/​tpc.​15.​00583

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Enhanced stomatal conductance by a spontaneous Arabidopsis tetraploid, Me-0, results from increased stomatal size and greater stomatal aperture.2016

    • 著者名/発表者名
      Monda, K., Araki, H., Kuhara, S., Ishigaki, G., Akashi, R., Negi, J., Kojima M., Sakakibara, H., Takahashi, S., Hashimoto-Sugimoto, M., Goto, N. and Iba, K.
    • 雑誌名

      Plant Physiol.

      巻: 170 ページ: 1435-1444

    • DOI

      doi: ​10.​1104/​pp.​15.​01450

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Dominant and recessive mutations in the Raf-like kinase HT1 gene completely disrupt stomatal responses to CO2.2016

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto-Sugimoto, M., Negi, J., Monda, K., Higaki, T., Isogai, Y., Nakano, T., Hasezawa, S. and Iba, K.
    • 雑誌名

      J.Exp. Bot.

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      doi:10.1093/jxb/erw134

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] A rate-limiting enzyme in phosphatidylethanolamine biosynthesis, PECT1, is involved in the stomatal movement in Arabidopsis2016

    • 著者名/発表者名
      Juntaro Negi, Makoto Okabe, Yuhei Ono, Natsumi Hoshino, Ikuo Nishida, Koh Iba
    • 学会等名
      第57回日本植物生理学会
    • 発表場所
      盛岡(岩手大学)
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [学会発表] 気孔の環境応答及び形成の分子機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      祢冝淳太郎
    • 学会等名
      第33回日本植物細胞分子生物学会
    • 発表場所
      東京(東京大学)
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 気孔葉緑体変異体gles1はCO2によるS型陰イオンチャネル活性制御に異常を持つ2015

    • 著者名/発表者名
      祢冝淳太郎, 楠見健介, 宗正晋太郎, 藤田麻友美, Julian Schroeder, 射場 厚
    • 学会等名
      第33回日本植物細胞分子生物学会
    • 発表場所
      東京(東京大学)
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-12
  • [学会発表] CO2 activation of the guard cell S-type anion channel is impaired in an Arabidopsis mutant with non-chlorophyllous stomata2015

    • 著者名/発表者名
      Juntaro Negi, Kensuke Kusumi, Shintaro Munemasa, Mayumi Fujita, Julian Schroeder, Koh Iba
    • 学会等名
      26th International Conference on Arabidopsis Research
    • 発表場所
      Paris, France
    • 年月日
      2015-07-05 – 2015-07-09
    • 国際学会
  • [備考] 九州大学大学院・理学研究院・植物生理学講座

    • URL

      http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~plant/

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公開日: 2017-01-06  

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