真核光合成生物は、効率よく光を集めて光合成を行うために集光アンテナ複合体(LHC)進化させてきた。LHCは、これまで主に緑色植物でのみ機能解析が行われてきたため、祖先葉緑体おけるLHCの機能は謎のままであった。 そこで、祖先的形質が多く残る紅藻でのLHC変異体の作成を試みたところ、全てのLHCを欠損した完全欠損変異体を作出することに成功した。また培養実験により、ある種の環境条件でのみ変異株の生育速度が野生株に比べ極端に低いことを示した。これらの結果は、葉緑体進化の過程で、生存に必須ではないが条件依存的に成長を促進する有利な形質として光合成アンテナが進化してきたことを示している。
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