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2016 年度 実績報告書

最終分化細胞が分裂しないのはなぜか?

研究課題

研究課題/領域番号 15K18564
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

池内 桃子  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (00633570)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード細胞分化 / 細胞分裂 / 再生
研究実績の概要

植物細胞が持つ高い分化可塑性は、植物が発生の可塑性や再生能力を発揮する上で重要な性質である。その一方で、多細胞体制の秩序を維持するためには、完成した組織では分化細胞は分裂せずに特殊化した機能を発揮し組織の構造を保持しなければならない。私はこれまでの研究によって、ヒストン修飾酵素であるポリコーム抑制複合体2(PRC2)が、最終分化細胞が分裂するのを防ぎ分化状態を維持する機能を持つことを明らかにした。PRC2機能欠損体では、最終分化細胞が分裂を再開して脱分化し、カルスと呼ばれる細胞塊や胚様体を形成するという表現型を示すことをこれまでに見出しており、野生型植物でも類似の現象が起こるかどうかは興味深い点であった。また、細胞分裂再開と細胞脱分化という2つの現象にはどのような関連があるのか、という点を明らかにすることを目指して本研究を行った。本研究では、傷ストレスを受けたときに野生型の植物でも高度に分化した細胞が分裂する例を新たに見出すことができた。たとえば、イワタバコ科植物では葉が傷つくと高度に分化した表皮細胞が分裂し脱分化して茎頂メリステムを構築することが新たに分かった。一方、シロイヌナズナの葉柄は切断面に近い部位の表皮細胞が分裂するものの、カルスを形成するのみであり、そこからの器官再生は行わなかった。本研究によって、最終分化細胞の中にも刺激を受け取って分裂を再開できる細胞とできない細胞があること、そして、分裂再開は必ずしも細胞脱分化を引き起こすものではなく、ある程度独立した現象であるということが明らかになった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] WIND1 promotes shoot regeneration through transcriptional activation of ESR1 in Arabidopsis.2017

    • 著者名/発表者名
      1.Iwase A, Harashima H, Ikeuchi M, Rymen B, Ohnuma M, Komaki S, Morohashi K, Kurata T, Nakata M, Ohme-Takagi M, Grotewold E, Sugimoto K
    • 雑誌名

      Plant Cell

      巻: 1 ページ: 54-69

    • DOI

      10.1105/tpc.16.00623

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Plant regeneration: cellular origins and molecular mechanisms.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi M, Ogawa Y, Iwase A, Sugimoto K
    • 雑誌名

      Development

      巻: 143 ページ: 1442-1451

    • DOI

      10.1242/dev.134668

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 植物の再生現象における分化全能性制御の分子機構2016

    • 著者名/発表者名
      岩瀬哲, 池内桃子, 杉本慶子
    • 雑誌名

      BSJ review

      巻: 7 ページ: 161-176

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Wound-induced cellular reprogramming in plants2017

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi M
    • 学会等名
      ITbM seminar
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2017-03-24
    • 招待講演
  • [学会発表] Identification of novel regulator required for wound-induced cellular reprogramming in Arabidopsis thaliana2017

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi M, Iwase A, Sugimoto K
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      鹿児島大学(鹿児島県鹿児島市)
    • 年月日
      2017-03-16
  • [学会発表] Transcriptome and hormonal analysis of wound-induced callus formation in Arabidopsis2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi M, Iwase A, Kojima M, Sakakibara H, Sugimoto K
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Asia
    • 発表場所
      淡路夢舞台(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-12-01
    • 国際学会
  • [学会発表] 分化を完了した植物細胞の脱分化と細胞分裂再開2016

    • 著者名/発表者名
      池内桃子
    • 学会等名
      基生研研究会「細胞分化を誘導する細胞周期制御システム」
    • 発表場所
      基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)
    • 年月日
      2016-11-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Stress induced cellular reprogramming in plants2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeuchi M
    • 学会等名
      新学術領域環境記憶統合若手の会
    • 発表場所
      KKR熱海(静岡県熱海市)
    • 年月日
      2016-10-12
  • [備考] 植物が傷口で茎葉を再生させる仕組み

    • URL

      http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170117_2/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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