鳴禽類はヒナの時期に歌の学習を行うが、カナリアなどの一部の鳴禽は、成鳥になってからも脳の可塑的変化を伴い毎年歌を学び直すことが可能である。このメカニズムを明らかにするために鳴禽の歌神経系をモデルとして研究を行った。継続的な録音によりカナリアの歌行動の季節変化とハシボソガラスのヒナの歌様行動の詳細が明らかになった。脳の可塑性に関わると考えられるストレス関連遺伝子群の歌神経核での発現が確認された。各種ホルモンの血中濃度を測定した結果、ストレスホルモンは歌の再学習の前後に違いは見られなかった。アンドロゲンには大きな変化がみられ、歌神経核の神経新生を促進するDHEAが再学習の時期に大きく高まっていた。
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