研究課題
魚類において、精原幹細胞を識別するための分子マーカーを単離することを目指し、ニジマスを用いて研究を行った。ニジマスにおいて精巣細胞を孵化稚魚腹腔に移植すると、精原幹細胞のみが宿主の生殖腺へと生着し、機能的な精子を継続して作り続けることができる。そこで、宿主生殖腺への生着能を有する精原幹細胞の分子マーカーを同定することを目的として研究を行った。昨年度までに、網羅的遺伝子発現解析およびqPCR法により、この幹細胞マーカーの候補として15種類のトランスクリプトに絞り込んだ。そこで、これら15種類のトランスクリプトについて組織染色によるスクリーニングを行った、これまでの研究から、宿主生殖腺への生着能を有する精原幹細胞は、精巣中の一部の精原細胞であることが明らかになっている。すなわち、精原幹細胞のマーカーは、精巣組織を用いた組織染色において、一部の精原細胞のみを標識することができるトランスクリプトであると考えられる。そこで、作成した抗体による免疫染色、および、in situ hybridization法による組織染色により、精巣組織において一部の精原細胞を標識することができるトランスクリプトの探索を行った。その結果、15種類のうち3種類のトランスクリプトが、精巣組織において一部の精原細胞を標識することが明らかになった。本研究により、精原幹細胞のマーカー分子として、3種類のトランスクリプトを同定するに至った。これらの知見は、今後、魚類の配偶子幹細胞の研究において基礎となるもであると考えている。
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Molecular Reproduction and Development
巻: 85 ページ: 155~162
10.1002/mrd.22949