研究課題/領域番号 |
15K18578
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
池田 陽子 岡山大学, 資源植物科学研究所, 特任助教 (80467688)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トランスポゾン / エピジェネティクス / サイレンシング |
研究実績の概要 |
トランスポゾンの制御機構を明らかにするため、シロイヌナズナを用い、トランスポゾンのサイレンシングが解除された変異体及び熱ストレス感受後のトランスポゾン活性化に異常が見られる変異体を単離し、解析を進めた。今年度は、主に、トランスポゾンの転写抑制が解除されるkumonosu(kun)変異体の解析を進めた。 kun変異体では、前年度までに、ペリセントロメア付近の多くのトランスポゾンだけでなく、特定の遺伝子の発現が変化していること、DNAメチル化レベルが野生型と変わらないことを明らかにしており、それに加え、今年度は、kun変異体において抑制的ヒストン修飾H3K9me2は変化していないが、核内のクロマチンの凝集が変化していることを明らかにした。kun変異体ではヘテロクロマチン領域の凝集が緩んでおり、ペリセントロメアに存在する反復配列の核内での局在パターンが変化していた。既知のサイレンシングに関わる変異体との遺伝学的解析を行ったところ、kunは既知のサイレンシング経路とは別の経路で働いていることが明らかになった。 kunの原因遺伝子をゲノムワイドシーケンスにより同定したところ、植物に特有のPlant mobile domainタンパク質をコードしていた。シロイヌナズナでkunと最も相同性の高い遺伝子の変異体を解析したところ、kun同様にトランスポゾンのサイレンシングが解除されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスポゾンの制御に関わる変異体を複数単離した中で、新規の変異体kunに焦点を絞って解析を進め、概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
kunの同定について論文にまとめるとともに、kunがどのような機構でサイレンシングを制御しているかを明らかにするために、kun変異体の抑圧変異体のスクリーニングを行う。また、RNA-seq, ChIP-seqなどによりkunにおけるトランスポゾン抑制解除の組織特異性を詳細に調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた次世代シーケンス解析の一部について、当該年度中に解析を終了させるのが困難だったため、次年度に行うことを予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
次世代シーケンス解析に必要な消耗品、シーケンス外注、およびデータ解析外注費用などに使用する予定である。
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