研究課題
レトロトランスポゾンは、生物のゲノム中に多数存在し、その転移は生物の進化において多様性を生み出すと共に生存に必要な遺伝子を破壊する可能性もあるため、通常、転移が抑制されている。転移の第1段階として、レトロトランスポゾンの転写活性化が必要であると考えられるが、その機構については不明な点が多い。本研究では、シロイヌナズナを用いトランスポゾンサイレンシングに異常がみられる変異体を単離解析し、レトロトランスポゾン抑制に関わる新規因子を明らかにした。最終年度では、トランスポゾンの転写抑制が解除されるkumonosu(kun)変異体について、どのような機構でトランスポゾンサイレンシングを制御しているかを詳しく解析し、KUNと既知のサイレンシング制御因子との遺伝学的相互作用や、細胞死の経路との関連性を詳細に解析した。また、KUNは植物に特有のトランスポゾン関連ドメインであるPlant mobile domainを有するが、このPlant mobile domainタンパク質の系統樹解析などにより、植物進化の過程におけるPlant mobile domainとトランスポゾンの挿入の関係について考察した。これまでの結果を論文に発表し、Plant mobile domainを持つKUN(MAIL1)及びその相同遺伝子MAINがDNAメチル化や主要なクロマチン修飾とは異なる新規の機構でペリセントロメア領域の凝集に関わることでサイレンシングを制御することを報告した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Nature Communications
巻: 8 ページ: 15122
doi:10.1038/ncomms15122