自家交配(自殖)は植物における普遍的な繁殖様式であり,動物・菌類でもしばしば見られる.本研究では,他殖(ヘテロタリック)系統と自殖(ホモタリック)系統の進化的移行が種内で平行的に起きた接合藻類ヒメミカヅキモを材料に,多くの野生系統を利用したゲノム解析を行うことで,自殖の平行進化の遺伝メカニズムおよびその進化がゲノムに与える影響を評価することを目的とした.その結果,ヘテロタリック系統では部分的なゲノム重複が顕著な一方ホモタリック系統ではゲノムサイズが小さい傾向があること,ヘテロタリック系統における性特異的遺伝子がホモタリック系統のゲノムにも残存していることなどが明らかになった.
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