環境のストレスを緩衝し、生物の発生を一定に保つしくみ(発生緩衝)は、半世紀以上前から想定されてきたが、その分子メカニズムの全貌は明らかになっていない。本研究では、まず、カタユウレイボヤの姉妹種を用いて温度ストレス影響を及ぼす発生経路の同定を行った。この結果、2000以上の遺伝子モデルが熱ストレスによる影響を受けることが示唆された。さらに、魚類の発生における小胞体シャペロンdnajc3遺伝子の探索及び機能解析を行った結果、dnajc3遺伝子は魚類で倍加しているが、このうちdnajc3aのみが発生緩衝に関与し、脊索動物で共通して、温度環境への適応に関係していることが示唆された。
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