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2016 年度 実績報告書

寄生植物の収斂進化を支える分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 15K18589
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

市橋 泰範  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (20723810)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード形態進化 / トランスクリプトーム / ネットワーク / 寄生植物 / 収斂進化
研究実績の概要

本研究では、寄生植物の収斂進化を可能とした分子基盤を明らかにするため、独立に進化した寄生植物種を対象に大規模トランスクリプトーム解析を利用した分子遺伝学的解析を行った。前年度までに、系統を超えた「寄生に必要不可欠な遺伝子セット」を同定し、共発現ネットワーク解析から、寄生の遺伝子セットの中でも他の遺伝子に影響を与える可能性が高い転写因子を選抜した。この転写因子についてプロモーター活性、過剰発現、転写抑制の解析用コンストラクトを作成し、モデル寄生植物としてコシオガマのhairy root transformationによる機能解析を行った。本年度ではプロモーター活性における結果を得ることができ、この転写因子のプロモーターは吸器内の分裂細胞と分化細胞の境界付近の特定の細胞群に活性を示すことが再現よく観察された。これは今までにない新規の発現パターンであり、この転写因子の吸器形成に特異な機能を示していることを示唆する。また吸器形成のような環境に応答して発動する形態形成の現象(根粒形成やカルス形成など)について公共データベースを使用して比較トランスクリプトーム解析をすると、今回の寄生植物の解析で得られた転写因子と同じ遺伝子ファミリーが誘導されることがわかり、この内容も現在総説論文としてまとめている。このように本研究を通して、申請時に提唱した作業仮説「吸器形成の遺伝子制御ネットワークを制御する上流因子が進化上繰り返し変化することで寄生植物の収斂進化が生じる」の検証に加えて、この仮説上で重要な働きをすると考えられる転写因子が植物の進化発生に関わる現象全般においてもキーとなる可能性について、いくつかの重要な結果とともに、得ることができた。現在も引き続き、候補転写因子の過剰発現および転写抑制について解析進めており、寄生植物の収斂進化の理解ひいては植物の進化発生の理解に大きく貢献することが期待できる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Transcriptome Dynamics and Potential Roles of Sox6 in the Postnatal Heart2016

    • 著者名/発表者名
      An CI*, Ichihashi Y*, Peng J, Sinha NR, Hagiwara N
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 11 ページ: 1-26

    • DOI

      doi:10.1371/journal. pone.0166574

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] New Advanced Backcross Tomato Population Enables High Resolution Leaf QTL Mapping and Gene Identification2016

    • 著者名/発表者名
      Fulop D, Ranjan A, Ofner I, Covington MF, Chitwood DH, West D, Ichihashi Y, Headland L, Zamir D,Maloof JN, Sinha N
    • 雑誌名

      G3

      巻: 6 ページ: 3169-3184

    • DOI

      https://doi.org/10.1534/g3.116.030536

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] eQTL regulating Transcript Levels Associated with Diverse Biological Processes in Tomato2016

    • 著者名/発表者名
      Ranjan A, Budke J, Rowland SD, Chitwood DH, Kumar R, Carriedo LG, Ichihashi Y, Zumstein K, Maloof JN, Sinha N
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 172 ページ: 328-340

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1104/pp.16.00289

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Vascular Cell Induction Culture System Using Arabidopsis Leaves (VISUAL) Reveals the Sequential Differentiation of Sieve Element-like Cells2016

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y, Nurani AM, Saito C, Ichihashi Y, Saito M, Yamazaki K, Mitsuda N, Ohme-Takagi M, Fukuda H
    • 雑誌名

      The Plant Cell

      巻: 28 ページ: 1250-1262

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1105/tpc.16.00027

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Using gene networks in EvoDevo analyses2016

    • 著者名/発表者名
      Sinha NR, Rowland SD, Ichihashi Y
    • 雑誌名

      Current Opinion in Plant Biology

      巻: 33 ページ: 133-139

    • DOI

      http://doi.org/10.1016/j.pbi.2016.06.016

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The Haustorium, a Specialized Invasive Organ in Parasitic Plants2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshida S, Cui S, Ichihashi Y, Shirasu K
    • 雑誌名

      Annual Review of Plant Biology

      巻: 67 ページ: 643-667

    • DOI

      10.1146/annurev-arplant-043015-111702

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Frontiers of Transcriptomics in Plant Science2016

    • 著者名/発表者名
      Ichihashi Y, Fukushima A
    • 雑誌名

      BSJ-Review

      巻: 7 ページ: 1-14

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Evolutionary developmental studies of leaf shape2016

    • 著者名/発表者名
      Ichihashi Y
    • 雑誌名

      BSJ-Review

      巻: 7 ページ: 1-13

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 寄生植物の吸器形成における進化発生学的研究2016

    • 著者名/発表者名
      市橋泰範、白須賢
    • 学会等名
      日本植物学会第80回大会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(沖縄県、宜野湾市)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-18
  • [学会発表] Transcriptomic homeostasis of host-parasitic plant interactions2016

    • 著者名/発表者名
      Ichihashi Y, Wakatake T, Yoshida Y, Spalek T, Maki N, Shibata A, Kyozuka J, Shirasu K
    • 学会等名
      Frontiers in parasitic plant and host interactions
    • 発表場所
      NAIST (Nara, Ikoma)
    • 年月日
      2016-08-30 – 2016-08-30
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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