研究実績の概要 |
環境水(海水、河川水など)に含まれる生息生物由来のDNAを分析し、魚類など脊椎動物の生息状況を研究することを目的としたメタバーコーディング解析を行うために、大量データパイプラインの作成を行った。扱うデータは、環境水から抽出したDNAを鋳型に、脊椎動物ミトコンドリアDNA(mtDNA)12S rRNA遺伝子部分配列をPCR増幅し、次世代シーケンサーで大量配列決定したものである。それらの、1回の実験で1,000万以上に及ぶ短鎖DNA配列について、クオリティフィルタリング、重複リードのクラスタリング、参照配列データベースへの配列類似性検索と由来種推定、配列アライメントと分子系統解析、結果のhtmlファイル作成を自動化するパイプラインが完成した。当パイプラインを用いた研究成果を Miya M, Sato Y, Fukunaga T, Sado T, Poulsen JY, Sato K, Minamoto T, Yamamoto T, Yamanaka H, Araki H, Kondoh M, and Iwasaki W. 2015. MiFish, a set of universal PCR primers for metabarcoding environmental DNA from fishes: Detection of >230 subtropical marine species. Royal Society Open Science, 2: 150088 として発表し、当論文の付録として、作成したパイプラインの簡易版を公表した(http://dx.doi.org/10.5061/dryad.n245j)。加えて、魚類だけでなく両生類、鳥類、爬虫類に対応したPCRプライマーの開発と解析パイプライン対応開発も進め、動物園での実地試験を開始している。
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