本研究では、中心ロゼット種 Streptocarpus kentaniensisと偏心ロゼット種 S. rexiiの個体発生学的解析を行った。偏心ロゼット種では子葉の間にSAMが形成されず、葉発生が葉基部の介在分裂組織から起こる。中心ロゼット種では発芽後SAMと同様の構造を持つ分裂組織が形成され、そこから葉発生することが示された。中心ロゼット種と偏心ロゼット種を交配し得たF1個体は中心ロゼット種となり、中心ロゼット型が優性形質であった。前年度、300個体の大規模F2集団を育成した。 本年度は、大規模F2集団の詳細な形質評価を行った。シュート形態に注目し、中心ロゼット・偏心ロゼット型の分離を標本・写真を用いて評価した。この結果、SAMの有無が遺伝的に制御される可能性が示された。 得られたF2集団を用い、遺伝マップ作製を試みた。次世代シーケンサー解析、Restriction-site associated DNA sequencing(RADseq)を行い、大規模に一塩基置換を検出し、遺伝マーカー作成、遺伝型決定を行った。このため、F2集団300個体よりDNA抽出、制限酵素処理、ライブラリー作成を行い、Hiseqによりシーケンスを行った。 前年度までに、HiseqによるS.rexiiのゲノムシーケンスデータ、S. rexiiとS. kentaniensisのRNAseqデータを得ている。本年度はゲノムアッセンブリのパラメーター試験を進め、アッセンブリの量・質を高め、アッセンブリからコンタミナントを除去した。RNAseqデータは新規にアッセンブリを行った。ゲノムアッセンブリの解析結果を日本植物学会、日本植物生理学会にて発表した。現在、得られたRADseqデータを、ゲノムシーケンスデータをレファレンス配列として解析中であり、結果を論文として投稿予定である。
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