研究成果の概要 |
近年の研究により, 木材腐朽性きのこ類(担子菌類)の進化と多様化には, 木材分解という「エサの喰い方」が関与している可能性が示唆されている。本研究では, 白色腐朽菌の進化を理解するステップとして, タマチョレイタケ科の分子系統関係を明らかにし, また, 生理学的・組織学的な特徴から材分解に関わる特性の多様性を検討した。本研究の結果, タマチョレイタケ科菌類では, 木材腐朽に関する特性は, 菌種や菌株よりも樹種の性質に影響されることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材腐朽菌のうち, 難分解性の木材成分であるリグニンを分解する菌類は白色腐朽菌と呼ばれる。本菌群は他の微生物が持たない機能を有する生物であるが故に, 様々な分野での応用利用が期待される。本研究で行った分子系統関係の解明により, 応用利用性が高い菌類である白色腐朽菌を含むタマチョレイタケ科の新規種が検出された他, 既知の属の見直しに繋がる新たな知見が得られた。本研究では, これらの菌類の木材分解に関わる特性を多面的に検討し, 酵素活性や木材分解パターンを明らかにした。これらの特性は本菌群の系統や進化の理解だけでなく, 本菌群の利活用の際の重要な基本情報としても有用である。
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