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2015 年度 実施状況報告書

イシサンゴ目における2つの新亜目の設立:発生様式はサンゴの分類形質となりうるか

研究課題

研究課題/領域番号 15K18599
研究機関東京経済大学

研究代表者

大久保 奈弥  東京経済大学, 経済学部, 准教授 (50401576)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードサンゴ / 発生 / 分類形質
研究実績の概要

近年、刺胞動物門の分子系統解析が多く行われており、その中のイシサンゴ目についてもmtCO1やrDNAの配列などから得られた様々な系統樹が発表されています。これらのコンセンサスとして、イシサンゴ目のグループは、RobustとComplexという2つのサブグループに分かれることが明らかとなってきました(Romano and Palumbi 1996)。しかし、サンゴの形態(群体形)とこれら2つのサブグループには全く関係性がみられず、サブグループの分かれ方がどのような差異を生んでいるのかは未だに不明です。そこで、刺胞動物の発生様式が多様であることに着目し、発生様式と系統関係に何らかの繋がりがあるかどうかを調べました。すると、分子系統学的解析で得られていた2つのクレードの差異は、生息環境の影響をあまり受けることのない発生胚の短期的な形態にも現れていたと考えられました。そこで、本助成金により、新たに採取したイボヤギとCyphastreaの発生様式の結果を含めて、Okubo (2016) では、発生様式と分子系統解析の結果を分類形質として、イシサンゴ目で多系統に出ていた既存の亜目に属する科を全て再構成し、2つの新亜目を提唱しました。その第一の亜目は、発生過程で胞胚腔がない若しくはほとんど見られず、分子系統解析でcomplexに属するサンゴです。静かにいつのまにか内側が満ちていく原腸形成の特徴から、シズカテマリ亜目(Suborder Refertina Okubo 2016)と名付けました。また、第二の亜目は、明らかな胞胚腔が見られ、分子系統解析でrobustに属するサンゴです。丸型の胞胚がまるで波に浮かぶ風船のようである様子(図1F-L)から、ナミフウセン亜目(Suborder Vacatina Okubo 2016)と名付けました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

思いのほか進捗したので、既に亜目を提唱する論文を投稿し、受理されたから。

今後の研究の推進方策

亜目を提唱したが、例外的な種が2つ見つかったので、そのことについて調べるのと、未だデータがとられていないサンゴの発生を引き続き観察する。

次年度使用額が生じた理由

備品が思ったより安く購入できた

次年度使用額の使用計画

サンゴの飼育に必要な水槽装置を新しくする予定

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] A comparative view of early development in the corals Favia lizardensis, Ctenactis echinata, and Acropora millepora - morphology, transcriptome, and developmental gene expression​.2016

    • 著者名/発表者名
      N. Okubo*, D. Hayward, S. Foret, E.E. Ball*
    • 雑誌名

      BMC Evolutionary Biology

      巻: 16 ページ: 48

    • DOI

      10.1186/s12862-016-0615-2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Restructuring the traditional suborders in the Scleractinia based on embryogenetic morphological characteristics.2016

    • 著者名/発表者名
      N. Okubo*
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 33 ページ: 116-123

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.2108/zs150094

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] An economic and ecological consideration of commercial coral transplantation to restore the marine ecosystem in Okinawa, Japan2015

    • 著者名/発表者名
      N. Okubo, A. Onuma*
    • 雑誌名

      Ecosystem Services

      巻: 11 ページ: 39-44

    • DOI

      10.1016/j.ecoser.2014.07.009

    • 査読あり
  • [学会発表] サンゴの移植に関する現状と考察2015

    • 著者名/発表者名
      大久保奈弥・大沼あゆみ
    • 学会等名
      野生生物と社会学会
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      2015-11-21 – 2015-11-24
  • [学会発表] イシサンゴ目の発生様式は1種の例外を除いて大きく2つのグループに分かれる2015

    • 著者名/発表者名
      大久保奈弥
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 発表場所
      新潟朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-19
  • [学会発表] イシサンゴ目の発生様式は1種の例外を除いて大きく2つのグループに分かれる2015

    • 著者名/発表者名
      大久保奈弥
    • 学会等名
      プランクトンベントス学会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2015-09-02 – 2015-09-05

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公開日: 2017-01-06  

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