研究課題
シロアリ腸内には、原生生物、原核生物が共生しており、さらにその原生生物の細胞外、細胞質、核内にまで原核生物が共生するといった多重共生系が存在する。ヤマトシロアリ腸内に共生する原生生物 Trichonympha agilisの核が肥大し核内に1種の共生細菌が充満している個体を発見し、その核のみをマイクロマニピュレーターを用いて回収し、DNase処理により宿主DNAを分解し、ゲノム増幅、次世代シーケンサーライブラリー調製、MiSeqとPacBioによるゲノムシーケンスを行った。それらシーケンスをアッセンブルし、核内共生細菌ゲノムの再構築を行った。その結果、約940 kbからなるドラフトゲノムを取得し遺伝子アノテーションを行った。ゲノム解析の結果、T. agilis核内共生細菌は、多くの代謝産物を自ら合成することが出来ず、宿主にそれらを依存しているのではないかと考えられた。またIII型分泌装置の一部を持ち、宿主との共生に関与しているのではないかと考えられた。またT. agilis 核内に同時共生細菌のゲノムDNAも取得することが出来た。さらに他の種のシロアリに共生する原生生物の核内共生細菌についても、同様にゲノムシーケンスを行っている。これら未培養微生物のゲノム解析により、核内共生細菌の機能、および宿主との共生関係の一端を解明することを目指す。さらに異なる種の核内共生細菌のゲノムを比較することにより、核内共生機構の詳細を明らかにできると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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