室内での進化実験により,非社会性昆虫に利他的な個体間相互作用を進化させるべく,貯穀害虫アズキゾウムシに着目した研究を行った.血縁選択理論に基づいて,豆内幼虫間血縁度を操作した処理区を作成し,10世代継代飼育した結果,高血縁度下で自己犠牲的に相手の適応度増加に貢献する形質が進化した.また広義の「社会性」創出という目的で,本種のメス間相互作用にも着目した.実験的に豆粒大のガラス玉に産卵させた場合,メスは豆上とは異なり他者が産卵済のビーズを選好した.さらに,本種を新規モデル生物とすべくゲノムアセンブリを行った.実証的研究と並行して,動物の社会的相互作用における適応的探索行動に関する理論研究も行った.
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