研究課題
生物のエネルギー代謝量はその生物の生き様を反映する重要な生理生態学的パラメーターの1つである。本研究は、他種多様な動物プランクトン群集の地理的、季節的に変化するエネルギー代謝量とそれを決定する要因を明らかにすることを目的とした。最終年度には航行中であっても常時、動物プランクトンを採集できるシステムを利用して周年にわたり、南は台湾から北は北海道に至る幅広い海域にて動物プランクトン群集のエネルギー代謝量を求めて、群集の体サイズ構成(体サイズスペクトル)と生物体量(バイオマス)の連関について明らかにした。また、水温・塩分をはじめとする物理環境と昼夜の別も併せて明らかにした。更に、水深200mから3000mにいたる深海域の水温の時系列変化を明らかにして、CTD観測装置にプランクトンネットを取り付けて任意の水深間のプランクトンを採集する装置も新たに開発した。これらの調査結果から、海洋における二次生産量に資する動物プランクトン群集のエネルギー量はバイオマス、および水温と体サイズスペクトルの変化に極めて依存していることが明らかとなり、当初の作業仮説である「群集のエネルギー代謝速度は群集の体サイズ構造と物理環境により説明される」という仮説を支持する結果となった。ここでの知見は、気候変動に伴う海洋環境の変化に対する生物群集の応答を予測する基盤と成り得るもので、今後、継続して物理環境と体サイズスペクトルをモニタリングしていく必要があると考えられる。
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