| 研究課題/領域番号 |
15K18631
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| 研究機関 | 筑波大学 |
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研究代表者 |
伊澤 かんな (佐藤かんな) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40456603)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | ソルガム遺伝子導入 / フェルラ酸エステル |
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| 研究実績の概要 |
イネ科作物では、穀物生産に重要な地上部の強度維持が重要である一方、その性質は家畜飼料用途においては家畜体内での分解性を低下させてしまうことが課題となっている。このイネ科植物地上部の強度維持と家畜体内における難分解性の付与には、細胞壁成分であるフェルラ酸-アラビノキシランエステル (FA-AX)が寄与するとされている。FA-AXは細胞壁リグニンの前駆物質であるフェルラ酸と細胞壁ヘミセルロース成分の一つであるアラビノキシランがエステル結合した細胞壁内の架橋構造である。しかし、FA-AXが細胞壁に蓄積する制御機構は明らかにされていない点が多く、細胞壁特性の決定におけるFA-AXの役割は明確に解明されていない。FA-AXはイネ科植物に特有の成分であるため、FA-AXの蓄積と細胞壁特性決定の関連を解明することは、穀物や家畜飼料の改良に重要な知見をもたらすものと考えられる。本研究では、穀物や家畜飼料、さらにバイオマス資源としての利用が期待されているソルガムの茎葉部を用いて、FA-AXの蓄積に関与する遺伝子を特定し、さらにFA-AXの蓄積と細胞壁特性の決定との関連を明らかにすることを目的とする。本年度は、昨年度選抜したFA-AX蓄積に関わると推定されるソルガム遺伝子について、RNAi発現抑制コンストラクトの作成を行った。また、本コンストラクトをソルガムに導入するにあたり、ソルガムに安定的に遺伝子を導入するための条件の検討と、当該遺伝子のソルガムへの導入を試みた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、ソルガムへのGUSレポーター遺伝子の導入に成功した。本年度、同様の方法で遺伝子導入を試みたところ組換え体の取得に至らず、ソルガムへの安定的な遺伝子導入が困難な状況となった。そこで本年度はまず、ソルガムに安定的に遺伝子導入する条件を確立するため、GUSレポーター遺伝子を用いて感染前の植物片の前処理条件の再検討を行った。その結果、温度処理および遠心処理を施すことにより、低率ながらも安定的に遺伝子導入できる条件を見出すことができた。そこで次に、FA-AX蓄積に関わると推定される遺伝子のRNAi発現抑制コンストラクトを作成し、現在組換え体の作成を行っている。
ソルガムへの安定的な遺伝子導入条件の確立に時間がかかったため、本年度予定していた細胞壁の観察と分析は来年度実施することとした。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後は、FA-AX蓄積に関わると推定される遺伝子の発現抑制体を引き続き作成し、できた組換え体から順次細胞壁中のFA-AXの解析を行い、FA-AX蓄積に関わる遺伝子の同定およびFA-AXの細胞壁における役割の解明を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
初年度(H25年度)の物品購入費が予想よりも低額となったため、本年度はその繰越金および本年度予算を使用した。ソルガムに導入するコンストラクトの作成やソルガムへの遺伝子導入の確認等に必要な試薬・解析に繰り越し分ならびに本年度分予算を使用した。当初予定していた計画よりも材料の作成が遅れており、その解析に必要な経費を次年度に繰り越すこととした。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度では、組換え体の解析およびソルガムへの遺伝子導入についてまとめることを予定しており、当初の計画どおり解析に必要な試薬や解析キットの購入、および、学会発表や論文発表に係る費用に使用する計画である。
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