本研究では、イネの水ストレス条件下における生産性の向上を目指し、それに必要な根の形質として、根系の可塑性発揮における炭素収支について解明することを目的とした。日本晴とKasalath、系統50番(日本晴/Kasalath 染色体部分置換系統群)を用いて、湛水条件(対照)と軽度な乾燥ストレス条件下で栽培した。その結果、根の通気組織形成量は呼吸速度に密接に関与していることが明らかとなった。また、土壌乾燥ストレスに対する適応性の高いイネは、同条件下において、積極的に通気組織を形成することで根の代謝コストとなる呼吸量を減らし、根系発育とくに側根の発育に光合成産物を利用している可能性が示唆された。
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