研究課題/領域番号 |
15K18635
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
臼井 靖浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 大規模畑作研究領域, 任期付研究員 (20631485)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高温耐性遺伝子 / QTLs集積 / 群落温度 / 水稲 / 外観品質 |
研究実績の概要 |
農家水田4筆に外気CO2濃度区(AMB区)と高CO2濃度区(外気+200ppm, FACE区)を設けた.各区に新潟早生,新潟早生を遺伝背景とし、高温耐性に関する量的形質遺伝子座(QTLs)を集積した準同質遺伝子系統(NIL)2系統(qWB6を導入した新潟早生NIL-6(以下,NIL-6),qWB6とqWB3の2QTLを導入した新潟早生NIL-6+3 (以下,NIL-6+3))およびハナエチゼンの4品種を供試し、外観品質への影響と群落温度環境の品種間差異について検討した。 整粒率は,FACE処理によって低下し(P < 0.01),これまでの報告と同様に未熟粒(基部未熟粒、腹白粒、乳白粒)は増加した。整粒率は品種間でも大きく異なり(P < 0.001), AMB区およびFACE区ともに,ハナエチゼンが最も高く,新潟早生で最も低かった.また,NIL2系統の整粒率は,両親の間にあり,FACE,AMB区の平均でNIL-6,NIL-6+3の順で高く,QTLの集積効果が認められた. 出穂4日前頃から水田4筆のうち1筆のAMB区およびFACE区を対象に、赤外線放射温度計を各品種の群落上方の約50cmに設置し、下向き45°の角度で群落表面温度を経時的に測定した。その結果、群落温度はFACEが高く、FACE区とAMB区の群落温度差(⊿T; FACE-AMB)は、日中に最大約2℃に達し、AMB区の温度が高いほど、⊿Tも大きくなる傾向にあった。ただし、品種間での群落温度に大きな差はみられなかったが、NIL2系統のほうが、新潟早生およびハナエチゼンに比べ、群落温度が高い傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主要項目である、高温耐性に関する量的形質遺伝子座〈QTLs〉集積による外観品質への影響、高CO2濃度環境下における群落温度環境の品種間差異、および高温耐性メカニズムの解明のいずれとも当初の計画に沿った研究成果を挙げつつある.
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今後の研究の推進方策 |
H27年度の研究はおおむね順調に進展したことから、H28年度は前年度得られたデータをもとに解析を中心とした研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた予算と交付決定額の間に差が生じたため、購入計画予定数の測器が購入できず、計画していた反復数を減らすことで対応した。そのため、次年度使用額が生じた。ただし、反復を減らしたものの、長期にわたり観測ができたため、十分な試験結果を得ることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
野外観測で使用し測器の消耗も激しいため、測器の保守点検、故障の際に代替品の購入にあてる。また、1年目で結果が得られたため、次年度は成果の公表を重点化するために使用を検討する。
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