研究実績の概要 |
農家水田4筆に外気CO2濃度区(AMB区)と高CO2濃度区(外気+200ppm, FACE区)を設けた.平成27年度同様、各区に新潟早生、新潟早生を遺伝背景とし、ハナエチゼンが有する高温耐性に関する量的形質遺伝子座(QTLs)を集積した準同質遺伝子系統(NIL)2系統(qWB6を導入した新潟早生NIL-6(以下,NIL-6), qWB6とqWB3の2QTLを導入した新潟早生NIL-6+3(以下,NIL-6+3))およびハナエチゼンの4品種を供試し、外観品質への影響の品種間差異について検討した。 整粒率は、高CO2処理によって低下し、これまでの報告と同様に未熟粒(基部未熟粒、腹白粒、乳白粒)は増加した。整粒率の低下には、高CO2処理によるタンパク質含有量の低下にともなう未熟粒の増加が、原因の一つと考えられる。2ヵ年ともに、高CO2処理によるタンパク質濃度低下が確認され、これまでの報告と同様な結果が得られた。整粒率は品種間でも大きく異なり(P < 0.001)、AMB区およびFACE区ともに、ハナエチゼンが最も高く、NIL-6+3、NIL-6、新潟早生の順で低くなった。NIL2系統は、両親の間にあり、NIL-6よりNIL-6+3の方が、整粒率が高く、QTLの集積効果が認められた。この傾向は、平成27年度と同様の結果となった。 ただし、整粒率は年次によって異なったが、その原因は生育期間(特に登熟期間)における温度の違いが影響したと考えられた。
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