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2015 年度 実施状況報告書

花ハス成長相転換の生理・遺伝学的解析と次世代型育種・栽培法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K18637
研究機関東京大学

研究代表者

樋口 洋平  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (00746844)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードフロリゲン関連遺伝子 / 八重咲き / AG / AP2
研究実績の概要

花ハスの開花期および花型を決定する遺伝要因を明らかにするため、H27年度は花成・花器官形成関連遺伝子の単離および発現解析をおこなった。
NCBIのデータベースに登録されている中国古代蓮の全ゲノム配列およびLOTUS-DBに登録されているRNA-seqデータに対しフロリゲン/アンチフロリゲンをコードするPEBPファミリー遺伝子のblast検索をおこなった結果、少なくとも14種類の遺伝子がハスゲノム中に存在することが明らかとなった。このうち、FTフループは6種類、TFL1/CENグループは4種類、MFTグループは4種類であった。紅・一重咲きで連続開花性を示す品種”毎葉蓮”をモデル系統と位置づけ、器官別の発現解析をおこなった結果、NnFT1, NnFT2は植物体全体で発現が見られたのに対し、NnFT3は地上部、NnFT4は花器官と地下部で高く発現していた。また、NnTFL1は茎頂および根で、NnAFT, NnBFT, NnCENは花器官で高く発現していた。
花器官形成関連遺伝子としてAGAMOUS (AG)およびAPETALA2 (AP2)遺伝子ホモログを単離し、発現解析をおこなった。一重咲き品種の毎葉蓮および八重咲き品種の重台蓮の花器官から抽出したRNAをもとにcDNAを合成し、全長配列の取得を試みた結果、2種類のAG (NnAG1, NnAG2)と3種類のAP2 (NnAP2, NnAP2a, NnAP2b) を単離・同定した。花器官における発現解析の結果、NnAG1/2は雄蕊、雌蕊、花托で発現が高く、一方でNnAP2a/bは花弁、雄蕊で発現が高かった。NnAP2に関しては花器官全体で発現が見られた。
上記の遺伝子構造解析および発現解析から、ハスで機能する花成・花器官形成関連遺伝子の絞り込みを進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、H27年度は花成・花器官形成関連遺伝子の単離をおこなった。一部遺伝子については計画を前倒しし、Q-PCRによる発現解析を進行中である。開花期を決める環境要因の解明については、生理実験に適した品種の選定および人工気象器での自殖種子の実生栽培実験に取り組み、人工光源下での生育・開花を確認した。現在のところ、本研究を進めるにあたって支障となるようなの想定外の結果は得られていない。

今後の研究の推進方策

花成関連遺伝子については昨年度に用いた連続開花性の品種”毎葉蓮”に加え、鉢栽培ではほとんど開花しない不開花性品種の”桜蓮”および”妙蓮”を加え、より詳細な発現解析に取り組む予定である。また、昨年度採取した毎葉蓮の自殖種子の実生栽培系を用い、発生初期からの時空間的な発現解析を行うことにより、ハスの花芽分化・発達制御におけるマーカー遺伝子を特定する。花器官形成関連遺伝子に関してはAGおよびAP2の発現解析を他の八重咲き品種へ拡大するほか、主要なMADS-box遺伝子についての単離と発現解析に取り組み、ハスの花器官形成に関与する主要な遺伝子を特定する。また、ゲノムワイドなSNP情報と表現型データとのアソシエーション解析をおこない、表現型とリンクする遺伝子座の特定を試みる予定である。
画期的な栽培法の確立に向けた取り組みとしては、昨年度予備的に取り組んだ人工気象器での実生栽培実験について規模を拡大し、開花促進的な光周期・光質および温度条件について検討する。

次年度使用額が生じた理由

シークエンス解析(外注)のサンプル数が当初計画より大幅に少なかった事と、旅費として計上していた分を使用しなかったため。

次年度使用額の使用計画

昨年度未実施分のシークエンス解析、および研究打合せのための旅費として使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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