研究課題/領域番号 |
15K18643
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 カンキツ研究領域, 主任研究員 (60433215)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | わい化 / カンキツ / DNAマーカー / ゲノム |
研究実績の概要 |
本研究ではカラタチとヒリュウをマイクロアレイによって発現プロファイルを比較し、わい化関連遺伝子候補を特定するとともに、カラタチとウンリュウのゲノムワイドな遺伝子型を比較し、ウンリュウ特異的ホモ領域、すなわち、わい化関連候補領域を特定し、両者が重なり合った領域を同定することによってわい化関連遺伝子座を明らかにすることを目標としていた。今年度は前年度までにマイクロアレイによって同定された候補遺伝子をゲノム上にマッピングし、ウンリュウ特異的ホモ化領域と共通するゲノム領域をわい化候補領域として特定することを予定していた。しかし、ウンリュウとヒリュウは強いねじれを伴うわい化形質を示すが、葉、刺、茎の形状が異なっている。そのためウンリュウのわい化領域とヒリュウのわい化領域が一致しない可能性もあった。そこで、本年度は計画を変更し、ヒリュウの自殖後代において、わい化形質に変化のある実生の探索を行った。68個体の実生をジェノタイピングし、8個体の自殖後代を選抜した。これらの実生の中からわい化が解除された実生とさらにわい化が強くなった実生をそれぞれ2個体ずつ選抜することに成功した。これらの実生ではヘテロであったゲノム領域がホモ化したためこのような表現型が発現したことが示唆される。つまりはわい化が解除された実生とわい化が強くなった実生において、自殖によってホモ化された領域がわい化関連領域である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究計画を変更し、ヒリュウの自殖後代からわい化形質が変化したわい化が解除された実生とさらにわい化が強くなった実生を選抜した。これら実生においてホモ化された領域がわい化関連遺伝子座であることが期待される。ヒリュウにおいてマイクロアレイによって同定された候補遺伝子の遺伝子座が選抜された実生においてホモ化されているかどうかを検証することで、わい化関連領域を同定することができる。しかし、この検証を行うには個体数が少ないため、自殖後代の実生の数を増やして実験する必要がある。そのためヒリュウの種を収穫し、播種の準備を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
実験に用いるヒリュウの自殖後代実生を増やすため、ヒリュウ後代からジェノタイピングによって自殖後代実生の選抜を引き続き行う。ヒリュウにおいてマイクロアレイによって同定された候補遺伝子の遺伝子座における自殖後代実生のホモ化とわい化形質の相関を検証する。同時に、マイクロアレイによって同定したわい化候補遺伝子の再現性についてもリアルタイムPCRによって検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は再度マイクロアレイ解析を行いわい化関連候補遺伝子の同定を行う予定であったが、ヒリュウの自殖後代の選抜を中心に研究を進めた。そのためリアルタイムPCRによる再現性の確認は次年度に行う予定であり、ヒリュウの自殖後代のジェノタイピングも進める予定である。その試薬代として予算を繰り越したため次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒリュウの自殖後代のジェノタイピングもマイクロアレイ解析によって同定したわい化関連遺伝子の再現性についてリアルタイムPCRによって確認を行う予定としている。そのため1,080千円をリアルタイムPCRとジェノタイピングの試薬代として計上する。
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