研究課題
本研究では、シロイヌナズナのR遺伝子RPP4により認識されるべと病菌エフェクターAvrRPP4 が標的とする宿主側の因子を同定・解析することにより、AvrRPP4の“植物免疫抑制機構”、ならびに“認識回避機構”の解明を目的とした。これまでに、AvrRPP4を同定し、AvrRPP4は宿主細胞内で細胞質と核内、特に核小体に局在すること、および核内に局在することがRPP4による認識に必要であることを明らかにしていた。また、RPP4による認識を回避しているべと病菌分離株Hind2由来のAvrRPP4アレルは、AvrRPP4が持つ機能的な核局在シグナル配列(NLS)内に遺伝子変異が見つかり、その変異により宿主細胞内局在を変化させることで、RPP4による認識を回避していることを明らかにしていた。つまり、AvrRPP4の“認識回避機構”について詳細な解析により明らかにしていた。平成28年度は、AvrRPP4の“植物免疫抑制機構”に迫るために、薬剤誘導型のプロモーターにAvrRPP4を連結したコンストラクトをrpp4欠損シロイヌナズナ変異体に導入した形質転換体を作製した。AvrRPP4が植物免疫機構を標的としている場合、作製した形質転換体は薬剤によるAvrRPP4発現誘導後、病原菌(特にべと病菌)に対する罹病性が増加すると予想された。しかし、形質転換体は、逆にべと病菌に対する抵抗性が増加し、防御応答マーカー遺伝子であるPR1の発現レベルも増加していた。この結果より、AvrRPP4はRPP4以外の抵抗性遺伝子にも認識される可能性が示唆された。同時に、この形質転換体を使用することによるAvrRPP4の“植物免疫抑制機構”の解析が難しくなり、現在その解析はストップしている。しかし、上述のAvrRPP4の同定から認識回避機構の内容をまとめた形で論文を執筆中であり、近いうちに投稿・受理を目指す。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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感染生理談話会の50年 ~古きを温ねて、新しきを知る~,土佐幸雄・中屋敷均・池田健一・中馬いづみ・吉田健太郎編
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http://plantimmunity.riken.jp/index_ja.html