研究課題/領域番号 |
15K18667
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水口 千穂 (鈴木千穂) 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (10733032)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | bacterial nucleoid / biofilm / plasmid / Pseudomonas |
研究実績の概要 |
今年度は、NdpAホモログとHUホモログの機能解析の一環として、プラスミドpCAR1にコードされるPnd (NdpAホモログ)、Phu (HUホモログ) に焦点を当てた解析を行った。過去の研究において、Pseudomonas putida KT2440株がpCAR1を保持すると、元々マッシュルーム状だったバイオフィルムが繊維状に変化すること、pmrとpnd、pmrとphuの各二重破壊株ではさらに繊維状化したバイオフィルムが形成されることが明らかとなっていた。これらの現象を引き起こす遺伝子を探索するため、前年度までに、KT2440株、KT2440(pCAR1)株、上述の二重破壊株を用いたトランスクリプトーム解析を行ったところ、KT2440株染色体上のPP_2193がバイオフィルムの繊維状化に、PP_0308とPP_0309が繊維状態の亢進に関わることが示唆されていた。そこで今年度は、これら遺伝子の過剰発現株を作製してバイオフィルムを観察すると共に、トランスクリプトーム解析の裏付けをとるため、新たに調製したcDNAを用いて、KT2440株、KT2440(pCAR1)株、二重破壊株における各種遺伝子の転写量の確認を行った。その結果、PP_2193を過剰発現したKT2440株は繊維状のバイオフィルムを形成すること、PP_0308またはPP_0309を過剰発現したKT2440(pCAR1)株は繊維状態が亢進したバイオフィルムを形成することが確認された。また上述の3遺伝子を含む計7遺伝子について、新たに調製したcDNAで転写量の確認を行ったところ、過去のトランスクリプトーム解析と矛盾しない結果が得られた。以上の結果を論文にまとめて投稿し、Environmental Microbiology Reports誌に受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画ではKT2440株染色体にコードされるNdpAホモログ、HUホモログに焦点を当てて研究を進める予定だったが、前年度までの状況を鑑みて、今年度はpCAR1にコードされる各ホモログの機能解析に集中することにした。その結果、これまでのデータと合わせて論文を投稿するのに必要なデータを全て揃えることができ、pCAR1にコードされるPndとPhuの転写制御機構について知見を深めることが出来たため、研究計画の変更はあったものの、予想以上の収穫が得られたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
一年目の計画を変更し、染色体にコードされるNdpAホモログ、HUホモログの研究が進められていないため、染色体にコードされる各種ホモログの解析を開始する。現在、KT2440株染色体上のNdpAホモログをコードする遺伝子(1種)、HUホモログをコードする遺伝子(3種)の遺伝子破壊株の作製に着手している。
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