研究課題
本研究では,環境中に豊富に存在する酵素資源への効率的にアクセスする方法として「液滴を利用した微生物培養を介さない酵素遺伝子取得法」を確立し,それを実践することを目的とした.平成27年度には,液滴を利用した微生物培養を介さない酵素遺伝子取得法を確立した.またそれを実践し,海水中の微生物由来β-グルコシダーゼ遺伝子の取得に成功した.平成28年度は,以下の二項目の研究を実践した.(1) 標的バクテリアからの酵素遺伝子の取得難培養性バクテリアであるChloroflexi門のCL500-11系統バクテリアは,稀有な酵素遺伝子を多数有しているとされている.そこで,Fluorescence in situ hybridization法により染色したCL500-11系統バクテリアを一細胞単位で回収し,そのゲノム情報から様々な酵素遺伝子を得ることを試みた.その結果,新規性の高い制限・修飾酵素,ペプチダーゼ,非リボソーム型ペプチド合成酵素などの遺伝子配列が見出された.(2) 液滴を利用した微生物培養を介さない酵素遺伝子取得法の深化液滴を利用した微生物培養を介さない酵素遺伝子取得法を,高分子分解酵素のように発蛍光性基質が存在しない酵素の探索にも適用できるよう,液滴の物性を指標にした酵素活性の検出法を確立した.本研究を通じて,「液滴を利用した微生物培養を介さない酵素遺伝子取得法」を確立し,その有用性・実用性を実証することに成功した.今後,本法の実践により,産業上有用な酵素をコードする遺伝子が多数取得され,それが新たな酵素産業の創出に結実すると考えられる.
新聞(日経産業新聞,2016年8月26日)およびテレビ番組(TBSテレビ「未来の起源」,2016年11月6日)で,本研究の成果が紹介された.また本研究の成果をまとめた論文が,2016年度コスモ・バイオ学術論文賞に選出された.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Biophysics and Physicobiology
巻: 13 ページ: 63-69
10.2142/biophysico.13.0_63
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~funatsu/