研究実績の概要 |
まず南海トラフ熊野灘と南太平洋環流という環境の全く異なる深海底2か所から掘削したコア試料を用いて作製された既存のメタゲノムショットガンライブラリーを対象に、添加した19種のD-アミノ酸と3種の希少糖(L-glucose, L-ribose, D-psicose)各々に応答する陽性クローン候補数を算出した。その結果、宿主として用いた大腸菌がデータベース上代謝しないとされる基質の中では、南海トラフ熊野灘深海底コア試料由来メタゲノムショットガンライブラリーの1%以上のクローンが、D-Ile, D-Gln, D-Thr, D-Trp, D-Tyr,D-Asp, D-His, L-ribose, D-psicoseに応答し、南太平洋環流深海底コア試料由来メタゲノムショットガンライブラリーの0.01%以上のクローンが、D-Ile, D-Thr, D-Trp, D-Tyr,D-Arg, D-Hisに応答した。次にフローサイトメーターを用いて南太平洋環流深海底堆積物コア試料由来メタゲノムショットガンライブラリーからD-Trp, D-Arg, D-Asp各々に応答する3つの陽性クローンを単離した。サンガー法を用いて挿入塩基配列を解析したところ、13-45bpと非常に短く、エネルギー的にリボスイッチの可能性も低いため、これらの陽性クローンの誘導機構としては基質によって宿主の代謝産物 (転写因子など) が変化し、それが挿入遺伝子断片に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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